「動けるデブ」発言から9年 27歳の中田翔、贅肉そぎ落としWBCへ

[ 2017年2月3日 10:40 ]

2008年2月1日、名護キャンプのフリー打撃で快音を響かせる中田
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 「動けるデブが最強やろ!」――。自称103キロの体重で入寮した18歳の少年は平然と吐いた。日本ハムの合宿所に隣接する両翼100メートルの2軍球場を見ると、「狭いな」と毒を吐いた。外野芝生席の後方には大きな防御ネットが立っているが、「場外?そんなん簡単」とも言った。

 札幌ドームの見学した際には「ここって何人ぐらい入るん?」と聞いてきた。「4万人ぐらい」と教えると、「それしか入らんのか?オレは甲子園のスタンドを5万人で埋めた」と大口も叩いた。どれもこれもプロ1年目だった日本ハム・中田から聞いた言葉である。

 大阪桐蔭時代に通算87本塁打をマークし、「怪物」と呼ばれていた。「それでも、まだ高校生だろ」と心のどこかで思っていた。ところが春季キャンプで18歳のフリー打撃を見ると、そんな気持ちは一瞬で吹っ飛んだ。

 打撃投手のボールに空振りしたかと思えば、バットに当たり出したら止まらない。柵越えを5連発、6連発と伸ばし、右にも左にも打球をスタンドまで運んだ。沖縄・名護球場は狭いといっても、スコアボードに打球を当てる打者はプロでもめったにいない。ところが、18歳の中田は簡単にぶつけ、スコアボードの上を越えていく打球まで放った。

 プロ野球をずっと見続けていると、ちょっとやそっとのことでは驚かなくなる。しかし、そんな打球を見たのは、この1度だけ。こんな高校生がいるのかと驚き、バックネット裏から中田のフリー打撃を見て、柵越えを数えるのが楽しかった。

 ただし、打球を遠くへ飛ばせば、プロで活躍できるわけではない。その後の中田は、開幕が近づくごとに1軍で活躍する投手の球にバットは空を斬り、2軍落ち。「神様のバカヤロー」という迷言も残した。それでも誰にもまねできない飛距離を誇り、その発言も最近のプロ野球選手には少ないおもしろさと豪快さがあった。だから、記者全員は中田のことが好きだった。

 「動けるデブが最強やろ」――。中田がそう言ったのはもう9年前のことだ。このオフ、徹底的な肉体改造を行い、無駄な贅肉をそぎ落とし、今年の沖縄・国頭キャンプを体重98キロで入った。「何をやっても打てるときは打てる。打てないときは打てない」。そんなことを言っていたのも遠い昔の話だ。年月が経過し、中田の考え方は変わった。今では誰もが認める侍ジャパンの4番候補だ。(記者コラム・横市 勇)

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