ソフトB松坂が沈黙するワケ 日本復帰初登板へ探る良化の道

[ 2015年7月24日 10:30 ]

ソフトバンクの松坂は3月中旬に離脱して以来、復帰への日々を送っている

 高校野球の原稿の中に久々にその名前を見た。「○○の松坂」。ソフトバンクの松坂大輔投手の本人の原稿を見たわけではないのだが…。

 普段は人懐っこいのに周囲に迷惑をかけていると察知すれば、一切口を開かなくなる。松坂はそういう選手である。年俸4億円(推定)でソフトバンクに入団しながら、1球も投げられていない。プロの選手として批判を受けるのは当たり前で、それを避けるために黙っているわけではない。自分の発言の数々がチームに変な形で影響してしまうことを心から嫌うからである。

 5月だったか。彼と西戸崎でのリハビリ中に話をする機会があった。「1軍は全員で戦っている。そこに参加できていない僕は何かを言う資格はない」。それでもメディアは追いかけるのが使命だと伝えると「それではメディアの方の目に見えるところに僕がいては駄目ですね」と言っていたのを思い出す。1軍で結果を残したものだけが、脚光を浴びるのがプロの世界である。自らへの批判的な報道すらも、1軍で頑張っている選手、チームに迷惑をかけると考えているのだろう。

 11年に右肘のトミー・ジョン手術を受けた後も同じ。自分のことでなくて周囲のことばかりを考えていた。リハビリ開始からフロリダ州フォートマイヤーズでのリハビリに張り付いたが「日々来ていただくのは選手としてうれしいですが、ただ、僕はチームに迷惑をかけている選手です」と言って、未来についてしばらく口を閉ざした。手術後の経過については「将来、同じ境遇となった選手の参考になるのなら…」との思いで話してくれたが。

 早くチームのために復帰したい。でも肩の状態が上がらない。本人が一番歯がゆいはずだ。「多少の痛みがあっても、投げてほしいとチームが思うならマウンドに立つのが使命」との覚悟は、メジャー時代から何度も聞いた。腕を振り続けてきた男が、ブルペン投球すらも行えない現状に耐えている。

 今は様々な治療法を試し、良化の道を探っていると聞く。

 「リベンジ」

 「自信が確信に変わった…」

 数々の名言も、いつも自分の言葉を持ち、インタビューでは、一つの質問に時間をかけて答えてきてくれたからだ。記者と選手として、その日常が戻ることを信じて待ちたいと思う。(倉橋 憲史)

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