韓国雑踏事故 専門家が指摘「一方通行にしていれば起こらなかったかも」

[ 2022年10月31日 19:10 ]

東京・台場のフジテレビ社屋
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 防災システム研究所の山村武彦所長が31日、フジテレビ系「Live News イット!」(月~金曜後3・45)に生出演し、韓国・ソウルで29日、154人が死亡した雑踏事故について解説した。

 ソウルの繁華街・梨泰院に29日夜、ハロウィーンを前に集まった若者らが、幅約3メートル前後の狭い坂道で下に向かって次々と転倒。消防によると、多くが圧死したとみられる。日本人女性2人の死亡も伝えられている。

 山村氏は現場の状況について、「狭い空間で、両側に逃げ場がない状況、なおかつ坂だということで、斜度10%の坂なんです」と説明。「そこに多くの人たち、1平方メートル当たり10人の密集度だと、群衆雪崩が起きやすいということになります」と続けた。

 事故現場では、坂の上下から人の圧が押し寄せたとみられる。「流れが決まっていて一方通行であれば、ベクトルが流れて方向性を失わないで、エネルギーを逃がす働きをするんですが、実際には上からも下からも来ますから、そこにエネルギーが蓄積されて、圧力がまんべんなく360度、人間にかかっていくという状態が起こっていったと思う」と分析。「一方通行にしていれば、警備がもっとしっかりしていれば、こういうことは起こらなかったかもしれません」と警備上の不備にも言及した。

 地元警察当局によると、死者154人のうち、男性は56人、女性は98人だった。山村氏は「特に背が低い、体が小さい人ほど被害を受けやすく、圧力がかかりやすい。かかってきた圧力を、はね返したり逃がしたりする力が弱い」と危険を指摘。13年に兵庫県明石市の花火大会後に9人が死亡した歩道橋事故を例に挙げ、「明石の時も犠牲になった11人のうち、9人は小さな子供だった。2人は高齢の方。弱い方ほど被害を受けやすい。圧力に弱い」と警鐘を鳴らした。

 明石市の事故では、1平方メートル当たり13人という極めて危険な密着度だったという。山村氏は「今回もそれくらいだとすれば、だいたい200キロくらいの力が一人一人にかかっていた。それがまんべんなくかかっているんですね」と説明した。さらに「亡くなった人の多くが、立ったまま圧着性窒息死と言われているんですけど、呼吸すらできないほど周りから圧力がかかって亡くなっている。倒れなくても立ったまま、圧力で亡くなっている」とも伝えた。

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2022年10月31日のニュース