NHK異例の試み ドラマ脚本開発チーム10人決定「桐島」喜安浩平氏「サンプル」松井周氏らベテランも

[ 2022年10月31日 15:15 ]

世界を席巻するドラマを作る!「脚本開発チーム WDRプロジェクト」のロゴ(C)NHK
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 NHKが新たに立ち上げた脚本開発に特化したチーム「WDRプロジェクト」の最終選抜メンバー10人が10月31日、発表された。映画「桐島、部活やめるってよ」(吉田大八監督と共同脚本)などを手掛けた喜安浩平氏(47)、劇団「サンプル」主宰の松井周氏(50)のベテランの名前も。応募2025人の中から選ばれた精鋭が、世界を席巻するドラマ作りに励む。

 メンバーは大橋由佳氏、喜安氏、相馬光氏、名嘉友美氏、仲井陽氏、林和生氏、兵藤るり氏、松井氏、弥重早希子、山口智之氏。

 喜安氏は13年、「桐島、部活やめるってよ」で第36回日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。映画「幕が上がる」「ディストラクション・ベイビーズ」(共同脚本)なども執筆。劇団「ナイロン100℃」やアニメ「はじめの一歩」シリーズの主人公・幕之内一歩役など、俳優・声優としても活躍している。

 松井氏は10年、ニューヨーク・タイムズで「日本における最も重要な演出家の一人」と紹介。11年には「自慢の息子」で“演劇界の芥川賞”岸田國士戯曲賞に輝いた。俳優としても活躍している。

 プロジェクトの代表は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)の演出の1人、保坂慶太監督。「メンバー募集を開始してから5カ月。2025名という想定を遥かに超える応募の中から、この度10名の精鋭をWDRに迎えることができました!アニメーション作家に劇団主宰、フレッシュな感性を持つ大学院生から更なる高みを目指すベテランまで、異なる武器を持つストーリーテラーが揃いました」と報告。「つい先日、任命式を終えて、チームは動き出しています。イッキ見したくなるシリーズドラマの開発を目指し、既に全速力モードです。どんな化学反応が起きて、どんな物語が生まれるのか。どうぞご期待ください!」と呼び掛けた。

 プロジェクト名の「WDR」は「Writers’Development Room」の略。海外のシステムも採り入れた従来とは異なるスキームに挑戦。脚本開発チームのメンバーを公募するのは、日本のテレビ業界としては異例の試みとなる。従来のシナリオ賞やシナリオ公募とは一線を画した「人材発掘」が狙い。

 それぞれが自分の企画として「パイロット脚本(シリーズドラマの第1話)」を執筆。さらに、構想段階から他のメンバーと物語の内容を共有し「ブレスト会議」にも参加。お互いにアイデアを出し合う。

 海外のシリーズドラマ制作は、複数の脚本家が「ライターズルーム」という場に集い、共同執筆することが一般的。今回のブレスト会議は、海外のライターズルームの役割を担う。19年、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に留学し、シリーズドラマの脚本執筆コースを履修・修了した保坂監督ならではのチーム作りとなる。

 例えば、構成が得意な人と台詞が得意な人のコラボレーションが可能。展開に行き詰った時、仲間と一緒に悩み、考えられる。「才能の掛け算」により、物語の完成度を高める。

 執筆された脚本は、NHK局内の提案会議でプレゼンテーション。企画が採用され、放送が決定した際には、発案者のメンバーを中心に第2話以降の脚本を練っていく。

 保坂監督は07年にNHK入局。大河ドラマ「真田丸」、連続テレビ小説「まんぷく」、よるドラ「だから私は推しました」などに参加。「鎌倉殿の13人」は“神回”と大反響を呼んだ第15話「足固めの儀式」(4月17日)、第20話「帰ってきた義経」(5月22日)などを演出した。

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2022年10月31日のニュース