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大谷翔平も認めた世代の顔 羽生結弦は最強アスリートなのか

[ 2021年12月26日 15:04 ]

大谷翔平(左)と羽生結弦
Photo By スポニチ

 【君島圭介のスポーツと人間】永遠に見ていたいと思える試合がある。WBC世界スーパーフライ級王者だった徳山昌守の8度目の防衛戦、ディミトリー・キリロフ(ロシア)戦は、ひりついた緊張感の中で続いた間合いの奪い合い、フェイントの掛け合い。試合というより、最高の技術を備えたボクサー2人の芸術作品だった。

 大谷翔平といえばメジャーでも話題になった豪快な打撃練習。日本ハム在籍時代は相手チームの選手まで見学し、拍手が起きるほどだ。その放物線は練習の域を超え、いつまでも見ていたいと思える破壊的な美しい軌道だった。その大谷に「僕らは羽生世代と思っている」とかつて言わしめたのが、フィギュアスケートの羽生結弦だ。

 羽生は大谷と同じ94年生まれ。同学年には野球の鈴木誠也、競泳の萩野公介、瀬戸大也、バドミントンの桃田賢斗、スピードスケートの高木美帆、バスケットの渡辺雄太ら超一流の名前が並ぶ。それでもクリスマスイブの24日、全日本選手権、男子シングル・ショートプログラムで見せた圧巻の演技は、羽生が世代の「顔」と呼ばれる理由をあらためて教えてくれた。

 国際スケート連盟非公認ながら、今季世界最高に相当する111・31点をマークした結果は、ただの数字でしかない。重力から解放されたジャンプ、指先で遠心力を自在に操るスピン。素人の目にもこれは人類が生み出せる最高到達地点なのでは、と思わせる熱を持った美しさだった。誰もが永遠にこの演技が終わらなければいいのに、と思ったはずだ。

 ジャンプの高さと回転数を競う力強いアスリート競技から、羽生によってフィギュアスケートが再び芸術に引き戻された感がある。もちろん、アスリート性を乗り越えた先で辿り着いた究極的な美しさだ。

 徳山に「キリロフ戦が一番しびれた」と伝えると、「なかなかいいところを見てますね」と褒められたのを思い出した。あれは殴り合いを超えた何か、だった。26日のフリー演技で、羽生は何を見せてくれるのか。もしかすると、スポーツ競技においてかつてなかった領域に達した姿かもしれない。きっと日本中のファンが「最高の羽生結弦」を期待しているだろう。(専門委員)

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2021年12月26日のニュース