湯元弟 兄に誓った決勝届かず…3決へ

[ 2012年8月11日 06:00 ]

男子フリー55キロ級準決勝でグルジア選手(奥)に敗れた湯元進

ロンドン五輪レスリング

 レスリングは10日から男子フリーの競技が始まり、最軽量級の55キロ級には湯元進一(27=自衛隊)が出場。準決勝でブラディメル・キンチェガシャビリ(グルジア)に1―2で惜敗し、3位決定戦に回った。74キロ級の高谷惣亮(23=ALSOK)は初戦の1回戦でアシュラフ・アリエフ(アゼルバイジャン)に敗れ、敗者復活戦にも回れなかった。

 まさに一瞬の隙を突かれた。湯元進の準決勝、キンチェガシャビリ戦。第1ピリオドを奪われながら第2ピリオドで得意のローリングを決め、1―1に追いついた最終ピリオドだ。棒立ちになったところにタックルを浴びせられ先制されると、終盤は上から攻めたがポイントできずにブザー。「絶対に兄貴を超える金メダルを獲って、翌日の健一にプレッシャーを掛けてやりたい」と誓っていたが、決勝の舞台には届かなかった。

 北京五輪の60キロ級で双子の兄・健一(ALSOK)が銅メダルを獲得。出場すらかなわなかった弟はスタンドで「うらやましいけど、ねたましい複雑な思い」を抱いた。以来、4年。「健一に置いて行かれる」という危機感が、湯元進をたきつけた。練習だけではなく、食事にも配慮し、貧血気味だった体質を改善するために、レバーやほうれん草を積極的に自炊に取り入れた。

 国体選手だった父・鉄矢さんの勧めで、小2から双子そろって始めた競技。小3で女の子に投げられる兄弟を見て、父が指導に乗り出した。自宅を改装したマットで連日繰り広げられた猛練習。その父から「日本一かわいそうな子供たちだった」とされた兄弟は、これまでは兄だけが五輪メダリストだった。同じゴールにたどり着くため、湯元進は最後まで奮闘した。

続きを表示

2012年8月11日のニュース