シルクロードの画家・平山郁夫さん 山梨の美術館で原点の作品を展示

[ 2024年5月25日 21:13 ]

山梨の「平山郁夫シルクロード美術館」で限定公開されている(左から)「仏教伝来」(59年)と、翌年に院展に出品した「天山南路 夜」
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 日本画家で文化勲章受章者の平山郁夫さん(1930~2009年)の作品を中心に、平山さんが約40年をかけてシルクロードで収集した古美術品などを展示する山梨県の「平山郁夫シルクロード美術館」で「平山郁夫 -仏教伝来と旅の軌跡」展が9月9日まで開かれている。

 企画展では、平山さんが終生のテーマとした、中国唐代の僧侶・玄奘三蔵の旅路を描いた最初期の大作「仏教伝来」(59年)と、翌年に院展に出品した「天山南路 夜」(長野・佐久市近代美術館所蔵)を並べて展示。平山東子同館長は「玄奘がたどった旅路をなぞり、追体験することをライフワークとしていた平山郁夫の思いを感じて」と呼びかけている。

 1930年に広島で生まれた平山さんは、戦争や被爆の体験をきっかけに、平和への祈りを作品に込めたといわれる。

 「仏教伝来」を描いた29歳時は、被爆の影響で体調が悪化。死の不安が迫る中、目に留まった新聞記事が転機になった。それは、64年の東京オリンピックの聖火が、ギリシャからシルクロードを通って、日本に運ばれるという報道。長い旅の途中、玄奘三蔵がオアシスに立ち寄る情景が浮かんだ平山さんは「これが最後になるかも」と覚悟し、渾身の力を筆に込めた。その作品は、人生に一条の光を照らす傑作になった。

 会場では「仏教伝来」のためのスケッチのほか、戦後の日本の世相を反映した人物画なども展示。名もなき若き日の苦悩と希望を感じられる内容になっている。

 平山さんの誕生日にあたる6月15日には、NHKのドキュメンタリー番組「新シルクロードシリーズ」ディレクターの井上隆史氏らがトークイベントを、バイオリニストのリュウ・ウェイ氏がコンサートを開催する予定。 開館時間は午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)。会期中無休。入館料は一般1200円、高大生800円、小中学生無料。

 詳細は同美術館0551-32-0225へ。

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