謎の覆面ホラー作家 雨穴氏 YouTube登録者数60万人超 出版社も素性知らないまま本が完成

[ 2022年10月19日 05:10 ]

話題となっている謎のホラー作家の雨穴氏
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 ユーチューバーとしても活動している謎のホラー作家が注目を集めている。全身黒タイツに白い不気味な面を着けた雨穴(うけつ)氏(年齢非公表)だ。ホラーやミステリーの怪談を動画に投稿しているYouTubeチャンネルは登録者数が60万人超。20日発売の小説「変な絵」(双葉社)は、予約開始日の9月1日に通販大手「Amazon」の総合ランキングで1位に輝くなど、出版界を席巻している。

 素顔もプロフィルも一切非公開で、YouTubeでは声をボイスチェンジャーで変えている。双葉社によると、小説のオファーから完成するまで全てのやりとりをSNSとウェブ会議システムで行い、ウェブ会議で雨穴氏は顔が映らないようビデオ機能をオフ。渡辺拓滋編集局次長は「私ども出版社も一切、素性が分からないまま本の完成にまで至りました。こういった謎の小説家がベストセラー作家となる新時代となったのだと思っております」としている。

 雨穴氏は18年6月にYouTubeチャンネルを開設。じわじわと恐怖が迫ってくる怪談で人気を集め、動画の総再生回数は約8000万回。中でも「変な家」と題した不動産ミステリーは視聴回数が1000万回を超える大ヒット。この動画を基に加筆し昨年7月に書籍化されると、売り上げは30万部を突破し、映画化も決まった。6~7月には原案を務めたドラマ「何かおかしい」がテレビ東京で放送された。

 デビュー作に続く第2弾「変な絵」は初の書き下ろし作品。9日に「まえがき」としてYouTubeに動画を投稿し、11月頭に「あとがき」として自作の歌を公開する。小説と動画と音楽の3つで一つの作品に仕上げるという出版界で初の試みだ。

 初版部数は「大物作家の話題作でも5000~1万部」(出版関係者)という出版不況下で異例の6万部。雨穴氏は「どこまでも怖く。面白く。この本を手に取った方に最高の時間を過ごしていただけるよう全身全霊を込めました」とコメントした。ベールに包まれた覆面ホラー作家。今後の活躍が楽しみだ。

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