「負けるか この野郎」 高倉健さん 火災からの復興に一肌脱いだ 支援グッズに言葉と顔描く

[ 2022年9月5日 05:00 ]

高倉健さんの顔が描かれる支援グッズのバッグのデザイン
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 8月10日夜に発生した北九州市小倉北区の旦過(たんが)市場周辺の大規模火災で、被災した人々を支援するプロジェクトに故高倉健さんが一肌脱いだ。生前の健さんが過酷な撮影に臨む際に発した「負けるか この野郎」の言葉が支援グッズに使われることになったもので、関係者は支援の輪の広がりに期待を寄せている。

 4月にも42店舗を焼く火災があり、がれきや廃材処理が進んで、やっと再開のめどがついた直後の8月の火事。焼失面積は約3300平方メートルにも及び、市場関係者の落胆は計り知れないものがある。

 ここで立ち上がったのが地元で小倉織に新たな風を吹かせている「小倉縞縞(しましま)」のデザイナーである染織家の築城則子さん。親交のある、養女で高倉プロモーション代表の小田貴月(たか)さんに相談し、支援プロジェクトが動き出した。

 2度目の火災は1939年創業の映画館「小倉昭和館」にも延焼。館主に届き、展示されていた健さんの手紙も焼失した。2014年11月に83歳で永眠した銀幕の大スターも、39歳の時に借金して建てた自宅を火事で焼失させた過去がある。小田さんは「2度の旦過市場の火災を知り、なすすべなく、一瞬にして何もかもが燃え尽きた体験を話してくれた高倉の声がよみがえりました」と話し、役立ててほしいと「負けるか この野郎」の言葉を贈った。

 これを門司在住の世界的イラストレーター、黒田征太郎氏が文字にし、北九州市出身の野口剣太郎氏がデザインを手掛けて支援グッズの製作を進めた。小倉織のハンカチ(税込み1500円)やバッグ(S同3500円、M同6000円)など6種類が順次オンラインでも全国販売される。

 健さんは福岡県中間市の出身。17年に追悼特別展が北九州で開催された縁もある。グッズ販売の利益は全て旦過地区の人々に寄付されるが、小田さんは「被災された皆さまの笑顔が戻ることが願いです」と強調した。

 ▽旦過市場火災 1度目は4月19日未明に発生し約7時間後に鎮火。焼失面積は約2000平方メートルで42店舗が被災。ケガ人はいなかった。商店会がクラウドファンディングを立ち上げ約5500万円が集まった。2度目は8月10日午後9時ごろ発生し、翌11日午後7時ごろ鎮火。45店舗が被災した。捜査関係者によると天ぷら油に火が入ったことが原因とみられる。

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