松本白鸚「別れはいつも悲しい、わびしいもの」 中村吉右衛門さん一周忌追善興行

[ 2022年9月5日 05:00 ]

東京・歌舞伎座で初日を迎えた「秀山祭九月大歌舞伎」の第2部「松浦の太鼓」で、中村吉右衛門さんの追善口上を行う松本白鸚 
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 歌舞伎俳優の松本白鸚(80)が4日、東京・歌舞伎座で開幕した「秀山祭九月大歌舞伎」(27日まで)に出演した。

 実弟で昨年11月に77歳で亡くなった中村吉右衛門さんの一周忌追善興行。第2部「松浦の太鼓」に出演し、吉右衛門さんの当たり役として知られる松浦鎮信を務めた。大名としての風格と同時に、滑稽さが求められる難役。80歳での初役でもあったが、舞台上に鎮座する白鸚の姿には吉右衛門さんの面影も重なった。

 芝居後の口上では「追善の意味を込めて兄として初役を務めました」とあいさつ。「弟が他界し1年近くになります。月日がたつのは早いものです」と話し「たった一人の弟ですので、別れはいつも悲しい、わびしいものでございます」と寂しそうな表情も浮かべた。数々の芸を後世に受け継いできた吉右衛門さんの功績を称え「そんな弟を兄として誇りに思います」と力を込めた。

 口上には吉右衛門さんと同じ播磨屋の中村歌六(71)、多くの演目で共演してきた中村梅玉(76)も参加。歌六は「兄さんが大事に守ってきた名跡を私も守り、後世につなげていきたい」と誓った。

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2022年9月5日のニュース