新型コロナ重症度分類 倉持仁医師らが警鐘「今のコロナに対応していない…ほとんどの患者は軽症に」

[ 2022年8月23日 21:00 ]

東京・赤坂のTBS社屋
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 新型コロナウイルス感染患者の対応にあたる「インターパーク倉持呼吸器内科」(栃木県宇都宮市)の倉持仁院長が23日、BS-TBS「報道1930」(月~金曜後7・30)にリモートで生出演し、新型コロナウイルスの重症度の現在の分類に疑問を呈した。

 厚労省が定めた「新型コロナウイルス診療の手引」によると、軽症は「肺炎の症状なし、酸素吸入の必要なし」。中等症1が「肺炎や息切れ、酸素吸入必要なし」、中等症2が「人工呼吸器一歩手前、酸素吸入必要」という症状。さらに重症は「ICUに入院、または人工呼吸器が必要」と、呼吸器の状況を中心にした分類になっている。

 しかし、倉持氏によると、この分類がオミクロン株の特性を踏まえたものではないという。「重症という定義は、いわゆる呼吸不全を起こして、呼吸ができなくなるから人工呼吸器やECMO(人工心肺装置)が必要だった」。それが、オミクロン株では状況が違うという。「今はそういう症例が非常に少なくなっていまして、どちらかというと全身状態が悪くなって、自宅待機している間、施設にいる間に衰弱して、人工呼吸器をする間もなく亡くなってしまう方が非常に多い」と指摘した。

 厚労省の分類は「肺炎があるかないかに着目した分類なんです。今のコロナには対応していない。ほとんどの患者は肺炎がないですから、軽症に分類されちゃう」とし、「そうすると、全身状態が悪くても、運ばれないという事態が次々と起こっていて、そういった中で死者数が増えてしまっているのが現状だと思います」と分析した。

 医師で国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は、「倉持先生のおっしゃる通り」と賛同した。「今の定義は、オミクロン株の患者さんに対しては正直言って当てはまらないと思います。肺炎というのに遭遇しませんので、軽症か中等症の1くらいに収まる人が多いんですね。患者さんはオミクロンであっても、高齢者の方は腎臓が悪くなったり、心臓が悪くなったりと状態は悪い。それを軽症とか中等症と言っていること自体が、その患者さんに対しての重症度をちゃんと診ていないとなっている」と、現状を懸念。「呼吸器の基準だけで評価したら見誤ってしまう」と警鐘を鳴らした。

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2022年8月23日のニュース