政府の全数把握見直し検討 医師が報告の苦労説明「1人当たりすごい情報量があって、5分くらい」

[ 2022年8月23日 17:36 ]

日本テレビ社屋
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 医師で国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授が23日、日本テレビ系「news every.」(月~金曜後3・50)にリモートで生出演し、政府が新型コロナウイルス感染者の全数把握の見直しを検討していることについてコメントした。

 新型コロナが感染法上の2類とされている現在は、全感染者の情報を保健所に報告することが義務づけられている。オミクロン株の感染爆発で、医療機関や保健所の負担がピークに達する中、政府は今後、高齢者や基礎疾患のある人など、重症化リスクの高い人に絞って報告を求める案で調整を進めている。

 松本氏は「私たちのところでは、外来で陽性になった方については、無症状だろうが重症化リスクのある方だろうが、全員その日のうちにHER-SYSという仕組みで届け出ることになっています」と、現場の対応を説明。しかし、感染者1人当たりの入力には手間がかかっている現状だという。「1人当たりすごい情報量があって、5分くらいかかります。今までその問題があったので、入力方法が簡略化されている部分もあるんですけど、陽性者がどんどん増えていけば、それだけの相当な数の手間が増えていくので、見直すのは大事なことだと思います」と、現場の負担軽減については歓迎の意向を示した。

 政府は重症化リスクの低い感染者について、年代別の人数のみといった、簡略化した報告を検討している。一方で、これまで入力してきたデータの価値や有用性について、松本氏は「お一人お一人の入力の手間によって、本当にこれだけの労力を割かなければいけないのか、疑問を持ちながら皆さん苦労されている。そこの部分が問題なんだろうと思います」と、現場から上がる疑問の声を代弁した。

 政府は今後、指定した医療機関などからのみの報告を受ける「定点把握」への切り替えも検討している。他の医療機関の負担が減るメリットがあるものの、松本氏は「結局のところ、どれくらいの感染者がいるんだろう?と、全体像が見えなくなってきます。医療機関からすれば、どれくらい準備すればいいのか、対応しなければいけないのか、根拠になる部分が難しい」と指摘。「数は数としてある程度、分かりながら、重症化する人は見逃さないという仕組みが本当は大事なんだろうなと思います」と提言した。

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2022年8月23日のニュース