矢沢永吉「棺桶に足突っ込みながらも立ち向かってますから、ステージでパタッと逝ってもOK」

[ 2022年8月23日 11:30 ]

矢沢の金言(終)

22日夜、リハーサルライブをファンクラブ会員限定で行った矢沢永吉
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 デビュー50周年を迎えた日本ロック史上最大のスター、矢沢永吉(72)が激動の人生を自らの語録で振り返る大型連載「YAZAWA’S MAXIM 矢沢の金言」(全11回)。最終回は矢沢らしく、原稿も生ライブでいきます!今週末に迫った東京・国立競技場での50周年記念公演。そのリハーサルライブが22日夜に行われ、その模様をスポニチ本紙で独占公開。改めて感じたのは、永ちゃんの歌こそ金言です。(構成・阿部 公輔)

 国立競技場のリハーサルライブを横浜のライブハウス「KT Zepp横浜」でファンクラブ会員限定でやってきました!いよいよ国立本番です!

 何が良かったって、もうすぐ73歳になるこのカラダが「楽」っていうのかな。突っ込んでいく時もカラダが自然についてきてくれた。やっぱ日々のトレーニングというか、真っすぐ体と向き合ってきたってことかな。

 でも、この猛暑。どこまで持つかはクエスチョン。だけど、お客はライブ始まったらそんなの関係なし。永ちゃん、きょうも飛ばしてよ!って向かって来ますから。応えないワケにはいかない。だからいつも思う、このギリギリ感にサンキュー!燃えてる矢沢にサンキューです!!

 最近思うんだよね。人間なんて生きていく中で、あれもこれもたくさんのものは必要ないんじゃないかって…。自分にとって、これとこれさえあれば生きていけるってものを見つけて。要は、気持ちよ!気の持ち方がどれだけ大事か。シンプルで結構!自分をもっと愛する!これが人生いろいろあった中での結論です。

 僕にとってシンプルにやり続けてきたのが、ライブアーティストとしての50年。大工さんや職人さんと同じです。だからステージには自分が納得するまで徹底的にこだわる。しかもロックは生のライブが命。だから、もう無理、ステージには立てない、十分やったと思った時、俺はマイクを置きます。

 だから、矢沢が矢沢であり続けるためにまだまだ走り続けます。ソロデビューした26歳の時。♪俺は畳じゃ死なねえぞ――って歌ったけど、マジな話、現実に起きちゃうかもしれないよ(笑い)。でも日々、棺桶(おけ)に足突っ込みながらも立ち向かってますから、ステージでパタッと逝っても、それもOK。あれもOK。全部OKで、矢沢最高です!

 だって考えてみたらこの50年間。人生いろいろあったけど、ひとつだけ変わらないことがある。俺にはいつも歌があった――。

 俺自身、その歌に何度も救われた。山川啓介、西岡恭蔵、大津あきら、ちあき哲也…。矢沢永吉の世界を70年代から90年代にかけて一緒につくってくれた4人の作詞家です。既に天国へ旅立たれていますが、矢沢のメロディーに言葉を与えてくれたことに本当に感謝しています。

 これからはますます自分との闘いになってきます。いつか思うように声が出なくなる、マイク蹴飛ばせなくなる、歌詞がすっ飛ぶ、まあいろいろ起きるでしょう(笑い)。だから歌える限り、ステージに立ちます。生きざまそのものが矢沢のライブになってきますから、枯れ果てていくその“ザマ”で矢沢、闘います!

 この連載も最終回。振り返ると、死んだ親父におばあちゃん、キャロル、山中湖、全米進出、豪州の詐欺事件、ウェンブリーの奇跡…と失敗や反省することばかりの人生でしたが、今の「矢沢最高!」にたどり着くためには、全部必要だったのかもしれません。

 その集大成となる国立競技場2DAYS。我ながらドラマチックな人生ですから、その意味でも何が起こるか分かりません。だからこそ、そこんとこ、ヨロシク!

 《エアコン止めてストーブ2台 しゃく熱トレ》矢沢は猛暑の今夏、都内のスタジオに電気ストーブ2台を持ち込んで個人リハーサルを続けている。ステージの照明の熱さに慣れるためで、若い頃からやっているツアー前のルーティン。この猛暑の中、エアコンを止めてストーブをたきながら1時間以上歌いまくるのだ。そして毎日欠かさず、柔軟などのトレーニングもしており「マジで持久力、上がります」と元気いっぱい。こういった日々の鍛錬が強靱(きょうじん)な72歳の肉体をつくっている。

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