「岸辺露伴は動かない」演出・渡辺一貴氏が語る舞台裏「企画を通すより先にオファー」「完全にジョジョ脳」

[ 2021年12月27日 11:30 ]

昨年に続き「岸辺露伴は動かない」の主演を務める高橋一生(C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社 (C)NHK・PICS
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 俳優の高橋一生(41)が主演を務めるNHKのドラマ「岸辺露伴は動かない」の新作が、12月27~29日に3夜連続で放送される。荒木飛呂彦氏の同名漫画の実写化で、人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフ。今回は、大反響を呼んだ昨年12月の放送作品の続編。ホラー要素がさらにパワーアップされている。

 特殊能力を持つ漫画家の岸辺露伴が不思議な出来事に遭遇し、立ち向かう姿を描く作品。演出の渡辺一貴氏も原作の愛読者で「心のどこかでいつか実写化したいと思っていた。まさかかなうとは思っていなかった」と企画の背景を明かした。主演の高橋も原作の大ファンで、露伴の言動が自身の人生観に影響を与えていることを公言するほどだ。

 2人は大河ドラマ「おんな城主 直虎」でも出演者と演出の関係で一緒に仕事をした。渡辺氏は「最初に企画を考えた時、そのビジュアルや性格から真っ先に高橋一生さんが頭に浮かんだ。局内に企画を通すより先に、まずオファーをしました」と裏側を語った。

 次々と遭遇する奇妙な現象に、相手の生い立ちや秘密を本にして読み、指示を書き込むことができる特殊能力「ヘブンズ・ドアー」で立ち向かう露伴。偏屈だが好奇心旺盛。クールだが子供っぽい。高橋はそんな個性的な人物像を等身大で演じている。自身も原作の大ファンで、作品にかける思いも人一倍強い。それだけに再現度は高く、原作ファンからも高い評価を集めている。

 渡辺氏は今作の出演を真っ先に本人に依頼した。「一生さんの中で長年培ってきた露伴のイメージが表に出ている。原作を物凄く理解しているからこそ、原作に忠実になっているように視聴者からは受け止めてもらえる」と自信を見せた。

 ヒロインを務めるのは女優の飯豊まりえ。原作で1話のみ登場しただけだが、ドラマ化するにあたりレギュラーに。好奇心旺盛な女性編集者を演じている。

 渡辺も原作ファン。ただドラマとして放送するにあたり「もちろん原作の良さもあるが、ドラマは別。作中で露伴と人間として会話できるバディが欲しかった」と説明した。その中でも飯豊を起用した狙いについて「明るくて快活なイメージがぴったりだった。さまざまな作品でいろんな性格の登場人物を演じているが、今作では素の性格通りのキャラクターとして演じてもらった」と明かした。

 企画立案のためのキーパーソンが2人。主演の高橋とデザイナーの柘植伊佐夫(つげ・いさお)氏だ。「この2人がいないとできないと思ったので、スケジュールを押さえてから社内に企画を通した」と明かした。

 作中屈指の人気キャラクター露伴。ファンが熱視線を送るだけに、人物描写や特徴のあるビジュアルなどをどこまで再現できるのか注目を集めていた。そのため柘植氏が主導となり人物設計が丁寧に行われた。通常のドラマとは異なり、衣装合わせの前に一度懇親会を開催するという異例のスケジュールを組んだ。その後も役者たちとヒアリングを重ね、キャラクター像を作っていった。

 渡辺氏は「会ってみて受ける印象や私服の好みや色使い。それを大事に装飾を作りました」と説明した。

 各話とも重要な登場人物がゲストで出演。それぞれ笠松将、市川猿之助、内田理央が高橋を翻弄(ほんろう)する。

 渡辺氏は放送するエピソードについて「原作のアナログ感を大事にするため、極度にCGには頼らずドラマとして再現可能なものを選んだ」と“ジョジョ愛”をのぞかせた。ゲストの人選については、偶然作品を見てインスピレーションが浮かんだ笠松や猿之助、原作ファンの内田など、ひらめきを重視したという。「日々さまざまな作品と触れ合う中で“この人は○○役にぴったりだ”と考えるようになってしまいました。完全に“ジョジョ脳”です」。愛の詰まった自信作が誕生した。

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