渡部愛女流三段「環境が変わったとしても自分の実力を上げることが第一」 万全期して最高峰タイトルへ

[ 2021年8月13日 19:56 ]

第1期ヒューリック杯白玲戦七番勝負に挑む渡部愛女流三段
Photo By スポニチ

 将棋の渡部愛女流三段(28)が13日、都内のスタジオで行われたABEMAの番組収録に参加し、9月に開幕する女流タイトル戦の最高峰「ヒューリック杯白玲戦」七番勝負にかける思いを語った。

 初代白玲の座に就くのは渡部か、西山朋佳女流三冠か――。白玲戦は史上最高額の優勝賞金1500万円はもちろん、来期以降は男性棋戦の名人戦と同様の「順位戦」形式で最上位のA級優勝者が挑戦者となる棋戦システムにも大きな注目を集めている。初の七番勝負開幕まで1ケ月を切り、いよいよカウントダウンに突入。相手は女王、女流王座、女流王将の3冠を保持する「令和2強」の一角を担う西山だが、渡部は「しっかり準備して体調を万全にして、今の自分の力を出し切れるように頑張るだけかなと思っています」と落ち着いた様子で柔らかくほほえんだ。

 2018年に念願の初タイトル・女流王位を獲得。しかし長期政権は築けず、翌年に失冠し苦杯を喫した。

 「タイトルを失ってから成績不振に陥ってしまって、なかなか上向かなかったですね。少しづつ勉強方法を変えて、ようやく結果が出てきたのかなというところがあります」

 不振脱出のカギは、奇しくもコロナ禍による研究方法の強制的モデルチェンジにあったという。

 「オンライン研究会や自宅で勉強する時間が増えました。特に自宅での勉強方法を見直して、より戦法を細かく分析して、自分の指さない形や得意ではないものでも意識して勉強するようにしました。今までは自分の好きなものばかり勉強していたんですけど、それ以外にも目を向けたことは大きかったのかなと思います。たとえ環境が変わったとしても、自分の実力を上げることが第一だと思っています」

 さらに、棋戦新設ラッシュによる対局数の増加は、全女流棋士に大きな刺激を与えたという。

 「より勝負にシビアになってきている印象があります。対局の時の雰囲気が、今までよりもさらにピリっとしたところも変わったところだと思います」

 失冠から2年。再び大舞台に立つ渡部には強さとしなやかさが備わった。 西山、里見香奈女流四冠による「2強」時代を割り、ビッグタイトルを手にすることができるか。玉座を決める白玲戦7番勝負は9月11日に戦いの火ぶたが切って落とされる。

続きを表示

2021年8月13日のニュース