平和の祭典を象徴 かつては綱引きが花形競技

[ 2021年7月29日 05:30 ]

伊沢拓司
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 【クイズ王・伊沢拓司の五輪の書(6)】小学校の運動会でおなじみの「綱引き」はかつて五輪の花形競技でした。

 紀元前に始まった古代オリンピックでは、綱を引くという行為自体が子孫繁栄や五穀豊穣(ほうじょう)など、儀式的な意味合いを持っていたため「平和の祭典」の象徴的な競技でした。復興された近代五輪においても、1900年のパリ大会から1920年のアントワープ大会まで実施されています。

 ではなぜ、なくなってしまったのでしょうか。きっかけは1908年のロンドン大会だと言われています。開催国の英国は3チームが表彰台を独占。しかし、米国はこのうち1チームが力を入れやすくするために「重いスパイク靴を履いている」と反則を訴えました。この抗議は認められませんでしたが、国際組織がなくルールが曖昧だったことなどを理由に後に五輪競技から削除された、という経緯です。

 その40年後に国際綱引連盟が設立され、ルールも統一されましたが、復活の兆しは見えず。今大会から実施のスケートボードやサーフィン、24年パリ大会で追加されるブレイクダンスなど、近年の種目選びには若者の五輪離れを防ぐ目的があると言われており、風向きは悪そうです。

 古代オリンピアンが平和を祈って競った花形競技。16年リオ大会ではゴルフが112年ぶりに復活しただけに、綱引きもひょっとして…。

 ◇伊沢 拓司(いざわ・たくし)1994年(平6)5月16日生まれ、埼玉県出身の27歳。東大経済学部卒。開成高時代に全国高校クイズ選手権で史上初の個人2連覇。TBS「東大王」で人気に。19年、株式会社QuizKnockを設立しCEOに就任。

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