キスマイ玉森主演「グラグラメゾン東京」脚本オークラ氏が明かすネットコンテンツの作り方「誰を喜ばすか」

[ 2019年12月8日 15:30 ]

日曜劇場「グランメゾン東京」のスピンオフドラマ「グラグラメゾン東京~平古祥平の揺れる思い」の脚本を手掛けるオークラ氏(上)と東仲恵吾プロデューサー(C)TBS
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 インターネットメディアによるオリジナルコンテンツが、テレビ(地上波)や映画に負けないクオリティーや話題性を誇る時代になった。TBS日曜劇場「グランメゾン東京」(日曜後9・00)のスピンオフドラマ「グラグラメゾン東京~平古祥平の揺れる思い」(Paravi、日曜深夜0・00)も好調。脚本を手掛ける構成作家・オークラ氏(45)とTBSの東仲恵吾プロデューサー(35)にネットコンテンツの作り方について聞いた。

 【オークラ】地上波はマスがターゲットで、ネットコンテンツはコアな人がターゲット。今回だと、ただ単にスピンオフを作りました、ということじゃダメなんだと思います。「グランメゾン東京」は本編が好きな視聴者の皆さんが“より深く”見ています。そこを、より意識して球を投げていくことが重要なんだと思います。

 【東仲】ネットコンテンツは購買するものなので、買っていただいた視聴者の皆さんに損をさせちゃいけない。そこは映画と同じような発想で、お客さんの心を離さない“力強さ”が必要なんだと思います。今回は「若者向け」「本編が好きな人を、より喜ばす」ということで、スピンオフを作りました。マスに訴える地上波と違い、ネットコンテンツはターゲットを絞るので、ストライクゾーンの狭い戦いをしている気もしますが、今回のように、ちゃんとストライクを入れれば、反響も頂けるんだと分かりました。

 ――Netflix「全裸監督」がヒットした現象は、どのようにご覧になっていますか?

 【オークラ】あまり地上波のドラマを見ない30~40代の男性が見たくなる題材を選んだと思います。企画として、素晴らしい。誰に見てもらい、喜んでもらうか、しっかりイメージしながら作品を作ること、そして、その人たちが何人ぐらいいるのか把握することも大事だと思います。

 ――となると、マーケティング重視になるんでしょうか?

 【東仲】「この辺の(ターゲット)層に刺したいね」ということはありますが、やはり感性や感覚も大切になってきます。

 【オークラ】マーケティングがあるからこそ、より安っぽいことはできないと思うんです。例えば、この辺にアニメファンがたくさんいるからと“アニメっぽい”ものを流したら、その人たちは「こんなもので満足すると思っているのか」と怒るんじゃないでしょうか。東仲さんは“力強さ”とおっしゃいましたが、マーケティングをしてターゲットが限定されるからこそ、ちゃんと突き刺さるものを作らないと、お客さんはすぐに離れていくと思います。

 ――オークラさんは今後、ネットメディア(ネットコンテンツ)でやってみたいことはありますか?

 【オークラ】いっぱいありますね。コメディーをガッツリやりたいのはもちろんですが、「アベンジャーズ」みたいな日本じゃ作れないような壮大な世界観の大作を、いかに予算をかけずに実写化できないか。ずっと前から考えてはいます。それと、僕がいつも個人的に考えているのは、ドラマのように作品性があるものは、その世界観が好きになったら、楽しみ方がたくさんある方がいいんじゃないかと。情報番組なら地上波だけ見ていればいいかもしれませんが、今回の本編「グランメゾン東京」が好きになった人は、スピンオフ「グラグラメゾン東京」を見れば、より深く楽しめます。実際のレストランとのコラボイベントや、映画化、舞台化、コンサートとかもあっていい。若者の嗜好は、地上波の世帯視聴率に反映されにくい。若い人は、もっと熱中したいはずだと思うんです。そういうものがムーブメントになるんじゃないでしょうか。

 【東仲】今回のスピンオフは玉森さんファン以外の人を、いかに引き込めるかが課題でしたが、熱量の高い作品が作れたので、それもクリアすることができました。「グランメゾン東京」というドラマの世界観が、スピンオフによって一段と広く、深くなりました。ネットメディアが増えたことで、クリエイターさんたちのアイデアを世に出す場所も増えたのは喜ばしいことだと思います。

 ◆オークラ 群馬県出身。お笑いコンビ「バナナマン」の“盟友”としても知られ、構成作家としてテレビ東京「ゴッドタン」、フジテレビ「関ジャニ∞クロニクル」などのバラエティー番組に参加。「バナナマン」「東京03」「おぎやはぎ」など、多くの芸人の単独ライブにも作家として携わっている。テレビ東京「ウレロ☆シリーズ」「潜入捜査アイドル・刑事ダンス」、日本テレビ「漫画みたいにいかない。」などドラマの脚本も担当。俳優・山崎樹範(45)出演の舞台「~崩壊シリーズ~」の作・演出も務め、シリーズ第3弾が今年10~11月に全国7都市で上演された。ネットメディアはAbemaTV「バラエティ開拓バラエティ 日村がゆく」、Hulu「漫画みたいにいかない。」「遊戯みたいにいかない。」など。

 【グラグラメゾン東京】俳優の木村拓哉(47)が主演を務める本編「グランメゾン東京」の主要キャラクター・平古祥平(Kis―My―Ft2玉森裕太)を主人公としたスピンオフ。祥平は、天才シェフ・尾花夏樹(木村)のパリ時代の元弟子。紆余曲折の末、一流ホテルの最年少料理長をやめ、尾花のライバル・丹後学(尾上菊之助)がシェフを務めるレストラン「gaku」に移った。

 スピンオフは、同じホテルのコンシェルジュで婚約者の蛯名美優(朝倉あき)と、ホテルのブッフェの元同僚で尾花がスーシェフを務めるレストラン「グランメゾン東京」に移ったパティシエ・松井萌絵(吉谷彩子)の2人に祥平が翻弄され、グラグラと揺れる男心を描くラブコメディー。仕事の悩みなど、29歳の等身大の姿も。本編で描き切れない“裏設定”を掘り下げ、反響を呼んでいる。動画配信サービス「Paravi(パラビ)」の国内ドラマ・オリジナルコンテンツのうち、配信スタート1カ月間の再生人数が歴代1位を記録。「Paravi」の国内ドラマのうち、10月1日~11月28日の再生回数も1位となった。毎週日曜、本編のオンエア後、深夜0時に配信されている。

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2019年12月8日のニュース