【22年ドラフト下位指名】中日6位指名の亜大・田中 俊足小兵の「忍者」井端先輩のように

[ 2022年10月25日 06:30 ]

中日から6位指名を受け、笑顔で撮影に応じる亜大の田中幹也内野手
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 韋駄天(いだてん)がプロの舞台で駆け上がる。中日からドラフト6位指名を受けた亜大・田中幹也内野手(21)は、50メートル走5秒9の脚力が最大の武器。その俊足を生かした広い守備範囲で、周囲からは「忍者」とも称される。打撃もミート力が高く、ガッツあふれるプレーで名古屋のファンを沸かせる。

 小さな体には夢が詰まっている。田中の身長は1メートル66。1メートル80台の選手が多くいるプロの舞台に飛び込むが、決してひるむことはない。

 「小学校の時から体が小さい中で野球をやってきた。小さいことはデメリットかもしれないが、だからこそできる動きは絶対にある。体が小さくて悩んでいる子供たちのためにも勇気を与えられるプレーをしたい」

 広い守備範囲を支えるのが、大学球界屈指の脚力。「自分の持ち味は足を生かした走攻守」と自任する。リーグ戦でも神宮を縦横無尽に駆け回り、通算は48盗塁。リーグ記録の駒大・野村謙二郎(元広島=本紙評論家)の52盗塁まであと4と迫っている。今秋はきょう25日の国学院との2回戦を残すのみだが、今春は1試合6盗塁を決めたこともある。一気に記録更新することも夢ではなく「自分が(塁に)出て走ればチームも勢いづく」と意欲を見せる。

 小学2年で野球を始めてからずっと目標にしてきたプロの舞台。憧れは同じ遊撃手で、亜大、中日OBの井端弘和氏だ。97年ドラフト5位で入団し通算1912安打を放ち、7度のゴールデングラブ賞を獲得した大先輩に「井端さんは常に目標としています」と目を輝かせる。

 亜大では主将も務めるが、昨夏は国指定の難病「潰瘍性大腸炎」を発症し、入院生活も経験。野球ができない日々が続いたが、不屈の精神力で今春リーグ戦で本格的に復帰。「野球から離れた生活というのは今までなかった。その悔しい思いを糧に今はやれている」とプラスに捉える。

 下位指名でも、プロに入ればスタートは横一線。覚悟はできている。「盗塁王とゴールデングラブ、ベストナインとタイトルを獲れるような選手になりたい」と田中。高い目標でも、亜大で培ったド根性で達成してみせる。 (田中 健人)

 ◇田中 幹也(たなか・みきや)2000年(平12)11月28日生まれ、神奈川県出身の21歳。小2で野球を始め、中学時代は相模原リトルシニアに所属。東海大菅生(東京)では2年夏に「1番・遊撃」で甲子園に出場し4強入り。亜大では1年春からリーグ戦に出場し、同年の大学日本代表に選出された。1メートル66、68キロ。右投げ右打ち。

 ▽下位指名から活躍した中日の主な選手 82年5位の彦野利勝(愛知)は、88年のリーグ優勝に貢献するなど勝負強い打撃が魅力だった。サヨナラ本塁打を打った後、走塁で足を痛めて代走を送られるという珍記録もある。代打率.309はチーム歴代1位(起用回数200以上)。09年5位の大島(日本生命)は12年に盗塁王、19、20年に2年連続で最多安打に輝き、球団5人目の2000安打まであと115に迫る。70年6位の堂上照(電電北陸)は主に中継ぎで活躍し通算35勝。昨年6位の福元(大商大)は、7月7日のDeNA戦でプロ初出場初安打をマークした。

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