村神様封じのキーマンは育成出身右腕? プロウト評論家・お股ニキ氏が分析

[ 2022年10月25日 07:10 ]

ヤクルト・村上
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 熱い戦いが繰り広げられている日本シリーズ。神宮での2試合の激闘の末、1敗1分けとなったオリックスが巻き返すためには、今季3冠王のヤクルト・村上宗隆内野手(22)を抑えることが不可欠だ。そのためには、どうすべきか。「プロウト(プロの素人)」評論家・お股ニキ氏が分析した。

 3冠王・村上をどう抑えるか。右投手なら「内角高めにライジングする(浮き上がるような軌道の)直球やカッター(カットボール)」と「外角低めに落ちるフォークやスプリット」の典型的な「対角線配球」に加えて、「外角高めにライジングしていくシュート系の直球」と「内角低めに落ちるスライダーやスプリット」の「逆対角線配球」が必要となる。実際、9月にはこうした配球が増え、村上は55号を放った後に調子を落とした。

 特に効果的なのはスプリット。直球と似たような球速と軌道で落下するため、打者はどうしても手を出して空振りしやすく、バットに当たってもゴロになりやすい。ゾーン内に投げればカウント球としても使用可能な「最強球種」だ。ただ、フルカウントではゾーン内のフォークを(第1戦で)平野佳が捉えられた。こうしたカウントでは落ち球ケアの意識も強まるので、高めの速球も効果的となる。もう1つはパワーカーブで、球速があり、縦に鋭く落ちるため目線を外せる。実際、レギュラーシーズン中に村上は、中日・小笠原のカーブに苦しんだ。

 今季のオリックスは、データ会社「DELTA」の分析によれば、12球団で最もスプリットの投球割合が多く、約13・6%。スプリットもパワーカーブを搭載しているのはエースの山本だが、リリーフ陣で注目したいのは7月に育成契約から支配下登録され、強力リリーフ陣の一角を担う宇田川だ。スプリットは最高品質で最速158キロの直球、パワーカーブのような縦スライダーも備えており、各球種の質が極めて高い。カウント球のスプリットと決め球のフォークの投げ分けがうまく、村上封じのキーマンになりうる。

 打席付近が少し高く「打ち下ろし」となっている神宮の特徴もあって、オリックスの投手陣は第1、2戦でフォーク、スプリットを見極められる傾向があったが、京セラドームでは良さが出るし、6、7戦で神宮に戻る場合には、2試合の経験を生かせるだろう。

 ◇お股ニキ(@omatacom=おまたにき)本名、生年月日、出身地は非公表。「ニキ」はネット用語で「兄貴」の意味。本格的な野球経験は中学の部活動まで。15年にダルビッシュ(当時レンジャーズ)に関してつづったツイートが偶然、本人の目に留まったのをきっかけに親交がスタート。ツーシームを助言した際には「お股ツーシーム」として公認されるなど、「プロウト」としての道が開けた。球界で理論を取り入れる選手が急増し、4人のグループで開設したオンラインサロン(会員制ウェブサービス)にはダルビッシュ、千賀、東浜らを筆頭に、多くのプロ選手が加入。「セイバーメトリクスの落とし穴」(光文社新書)、「ピッチングデザイン」(集英社)などの著書がある。

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