広島・森下 球団日本人では23年ぶりの2戦連続完封 コロナ禍チームを救った「完投も役割の一つ」

[ 2022年8月17日 04:45 ]

セ・リーグ   広島5-0中日 ( 2022年8月16日    マツダ )

<広・中>7回、土田を投ゴロに抑え野手に向かってポーズする森下(撮影・岡田 丈靖) 
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 広島・森下暢仁投手(24)が16日の中日戦で2試合連続の完封勝利を挙げて、新人だった20年以来2年ぶりとなる10勝に到達した。試合前に球団内でスタッフを含む計11人の新型コロナウイルス感染が判明し、佐々岡真司監督(54)らが不在となった一戦。先発起用された堂林翔太内野手(30)が2本塁打を放つなどチーム一丸で連敗を2で止め、単独4位に浮上した。

 チームの非常事態に奮い立たせていた闘志は、胸の奥底に隠した。ガッツポーズを見せたのは、最後の打者となった郡司から空振り三振を奪ったときだけ。森下は、普段通り淡々と投げ続けることでナインを安心させた。

 「2桁を目指してやってきた。チームもこういう(コロナ禍の)状況ですし、何とか到達できて良かった」

 初回から3イニング連続で得点圏に走者を背負いながらも危なげなかった。三塁を踏ませたのは1度のみで、5―0の8回2死一、三塁では土田を148キロの直球で遊ゴロに仕留めた。9安打を集められても、与四球は1つのみ。無駄な走者を許さずに、124球で片付けた。

 「週頭に9回まで行けたことは、チームにとってプラスになったと思う。誰も降りたいと思ってマウンドに上がっていない。それ(完投すること)も役割の一つと思っている」

 投球フォームを変えてまで、誰よりも投げられるように準備してきた。その始まりは2年目だった昨季。リリース時に上体を大きく倒すことで真上から投げ下ろしていたフォームを変更し、前傾させる角度を抑える形に挑戦した。新人王を受賞した1年目を終えて痛感したのは「上体を倒しすぎると体に負担がかかってくる」。体の反動を使わなければ、下半身の蓄積疲労を軽減できると考えたのだ。

 変化を恐れなかった当時の決断が間違っていなかったことは、今季の成績が証明している。今季の投球回数はリーグ断トツの144回2/3。「疲れは取れない」と素直に打ち明けるシーズン最終盤に入っても、球の切れは落ちていない。変化を恐れない理由は「同じことをしていても変わらないから」。昨季終了後には初めて本格的にウエートトレに取り組んだ。身体も投球法も見直し続けて、2年ぶりの10勝に到達した。

 投げ合った柳は明大の3学年先輩。いまも尊敬してやまず、「結果を残さないと信頼される投手になれないことを柳さんから教わった」と言う。チームの危機を救う2試合連続完封。快投を見せて、ナインに下を向く隙を与えなかった。(河合 洋介)

 【データ】広島の2試合連続完封は16年5月17日ヤクルト戦、同24日巨人戦のジョンソン以来。日本人では99年5月26日巨人戦、6月2日ヤクルト戦の紀藤真琴以来23年ぶり。次戦で3試合連続となれば球団新記録となる。プロ野球記録は43年藤本英雄(巨)の6試合連続。

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2022年8月17日のニュース