試合前に投手が実戦で投げる球を試打できる画期的なピッチングロボット カブス鈴木誠也の助けになるのか?

[ 2022年8月17日 12:40 ]

16日(日本時間17日)のナショナルズ戦に出場し、勝利に貢献したカブス・鈴木誠也(AP)
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 スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のカブス担当、パトリック・ムーニー記者が今季から本拠地リグレーフィールド内に設置されたピッチングロボット(トラジェクトアークマシーン)について16日(日本時間17日)にレポートしている。

 室内打撃練習場で、コンピューターに対戦投手の名前を入れると、ロボットがデータを元に、その投手の全球種を試合と同じ腕の角度、リリースポイントから、同じ球速と同じ回転率で、投じてくれる。同時にスクリーンに投手の投球フォームも映り、ワインドアップとセットポジション別々に、タイミングの違いも覚えられる。

 開発したのはカナダの会社で、創設者の一人ジョシュア・ポープさんは既に7球団がマシンを注文したと明かしている。カブスについては限定的な独占契約を結んでおり、ライバルとなるナ・リーグ中地区の他球団は現時点で使っていない。去年アリゾナのキャンプ地で試作品を使用。今年はアップデートしたバージョンを、リグレーフィールド、3A本拠地球場、キャンプ地と3台置いている。鈴木誠也との入団交渉のプレゼンテーションではそこも強調したそうだ。

 とはいえ、このロボットを試合中に使うのはMLBの規則で禁止。そしてカブスは本拠地でここまで24勝34敗、遠征で24勝33敗だから、即結果につながっているわけではない。鈴木もホームでOPS(出塁率+長打率)は・718、本塁打3本、遠征では・737、6本だから、遠征の方がむしろ成績が良い。

 しかしながらカブスはこのテクノロジーを新しいフロンティアと見なし、今後積極的に利用していく。カブスは数年前からテクノロジーとデータを土台に、ピッチング育成のインフラを刷新し、今では質の高いリリーバーをたくさん育てられるようになった。バッティングはピッチングに比べて遅れていたが、このピッチングロボットで差を埋めていく考えだ。果たして、狙い通りに行くのだろうか。

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2022年8月17日のニュース