日本ハム・松本剛、骨折から復帰戦は3の0も首位打者獲りへ“新庄アシスト”犠打指示

[ 2022年8月17日 06:00 ]

パ・リーグ   日本ハム1―2楽天 ( 2022年8月16日    札幌D )

<日・楽>8回、犠打を決める松本剛(撮影・高橋茂夫)
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 球場のファンが、全てを察したのは1点を追う6回だった。この日初めて回の先頭で打席に入った日本ハム・松本剛の打球は、三遊間の奥深くへ。しかし、ゆっくりと一塁ベースを駆け抜ける。全力疾走していれば内野安打かと思われたが、遊ゴロに打ち取られた。まだ、完治していなかった。

 「正直、万全ではない状態ですけど(1軍に)上げてもらった。あそこはセーブしながら(走った)。無理して結局すぐにケガをしたら、上げてもらった意味がなくなる」

 先月19日のオリックス戦で自打球を当て、左膝蓋(しつがい)骨を骨折。打率・355とリーグトップを走る中での離脱だった。「結構きつかったですし、めちゃめちゃ悔しかった」と振り返るが、前を向けたのは初の首位打者獲得の可能性が残されていたからだ。

 約1カ月間の離脱中にオリックス・吉田正が打率を上げてきたが、トップは変わらなかった。リハビリ期間中は早期回復を目指し、「いいと言われている電気(治療器)を当てに横浜まで毎日通った」という。「全力でやった中でのケガなので仕方ない。とにかく少しでも早く治そうとだけ考えた」と必死に復帰を目指してきた。

 それでもダッシュの出力は70%まで。止まる動作は患部に負荷を与えるため全力疾走はできない。左膝を下にして滑るスライディングも難しい中、新庄監督は「打率を下げたくないから」と、犠打で打席数を稼がせるため2番で先発起用した。この日は3打数無安打も、8回1死一塁で送りバントのサインを出して采配でアシスト。「打ちたいと言えば打たせる。早く1本出てほしいですね」と話した。

 打率は3厘下げたが依然トップ。残り36試合で3打席ずつ立てば、あと105打席とするシーズン規定打席(443打席)に到達となる。「打席に立って打てなかったら悔しいし、イライラするのを改めて感じた」と復帰戦で“本能”は目覚めた。「とにかく一本でも多くヒットを打ちたい」。ボス、チームメート、そしてファン。球場中の期待を背負い、タイトル獲得へ再出発した。(清藤 駿太)

 【復帰への道のり】

 ☆7月19日 オリックス戦(京セラドーム)の3回、左膝に自打球を当てて途中交代。試合中に大阪市内の病院に向かい、精密検査を受けた。

 ☆同20日 検査結果が球団から「左膝蓋骨(しつがいこつ)下極骨折、試合復帰まで4週間の見通し」と発表された。

 ☆同22日 初めてファン投票選出を受けていたオールスターの出場辞退が発表される。

 ☆8月14日 イースタン・リーグのDeNA戦で実戦復帰。2打席に立って四球と右前打。新庄監督が16日の1軍合流を明言した。

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