専大松戸の“ミスター完投”深沢、139球投げ切り春夏連続甲子園王手 観察力武器に13K 

[ 2021年7月21日 05:30 ]

全国高校野球選手権千葉大会準決勝   専大松戸7-2八千代松陰 ( 2021年7月20日    ZOZOマリン )

<専大松戸・八千代松陰>完投した深沢(撮影・長久保 豊)
Photo By スポニチ

 第103回全国高校野球選手権(8月9日から17日間、甲子園)の地方大会は20日、20大会で計107試合が行われた。千葉大会では春夏連続の甲子園出場を狙う専大松戸が八千代松陰を7―2で下し、木更津総合との決勝戦へ。福島大会では準々決勝で聖光学院が光南に敗れ、史上最長タイ記録の14大会連続甲子園出場はならなかった。21日は28大会で計134試合が予定され、千葉、福井で決勝が行われる。

 相手が何を狙っているかを常に考える。心は熱くても頭は冷静だ。5点リードの9回2死一、三塁。変化球狙いを察知した深沢は右打者の内角に140キロ直球を投じた。遊ゴロで試合終了。決勝進出にもエースは淡々とロジンバッグを拾った。

 「去年も(独自大会で)決勝の舞台を経験している。自分たちも行きたいなという思いがあったので、素直にうれしいです」

 最速144キロのサイド右腕が6安打2失点で完投勝利。プロの6球団スカウトらが見守る中で、143キロを計測した直球とスライダーを軸に13三振も奪った。

 特筆すべきは修正力。17日に行われた5回戦の東海大市原望洋戦は5安打9奪三振で9回完封も、力を使い果たして試合終了と同時に右ふくらはぎをつった。準々決勝は背番号11の右腕・岡本陸(3年)に託し、挑んだ準決勝。「中軸と下位で投球を変えました」と柔軟にギアを使い分け139球を投じた。

 直球とスライダーが投球の約9割。2球種でも打者は対応に苦しんだ。深沢は「投げた球の感覚と打者の振りや当たりを見て(配球を)考えています」と抜群の観察力で打者の狙い球を外した。

 観察力は筋金入りだ。幼稚園児の時の出来事。母・由紀さんと東京都江戸川区の自宅から数キロ離れたショッピングモールを訪れた際、迷子になった。警察が出動する騒動は意外な形で解決。自宅までの道順を記憶していた幼稚園児は自力で帰宅。警察から待機するよう言われて帰宅した母に玄関前で「ママ遅い」。我が子の無事を泣いて喜んだ母は「観察力がある子でした」と振り返る。

 昨年の独自大会決勝で敗れた木更津総合との決勝に「絶対に勝ちきる気持ちでやりたい」。6年ぶりの夏の甲子園出場で同校初の春夏連続出場を果たす。(柳内 遼平)

 ◇深沢 鳳介(ふかざわ・おうすけ)2003年(平15)11月5日生まれ、東京都江戸川区出身の17歳。第四葛西小1年から「雷サンダース」で野球を始め、上一色中では軟式野球部に所属。名前の字は父・竜之さんが「深い所からでも羽ばたけるように」と選び、読みは母・由紀さんが好きだったテレビドラマ「やまとなでしこ」で堤真一が演じた中原欧介に由来する。1メートル77、75キロ。右投げ右打ち。

 ▼DeNA・進藤達哉編成部長 センバツの時より良くなった。しっかり直球が投げ込めている。これから勝ち上がっていくにつれ、評価は上がるだろう。

続きを表示

2021年7月21日のニュース