広島・誠也 特大弾で“天敵”撃破 思い出す能見にビビったあの夏の原点、侍4番は今回も乗り越える!

[ 2021年7月3日 05:30 ]

セ・リーグ   広島7-1阪神 ( 2021年7月2日    マツダ )

<広・神(8)> 2回無死、鈴木誠は左越えに先制ソロを放つ(撮影・大森 寛明)
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 6戦4発――。主砲のバットがようやくスゴみを帯びてきた。広島・鈴木誠也外野手(26)が2日の阪神戦で2戦連発を含む今季最多4打点の大暴れ。2回に天敵・西勇から先制の12号特大弾を左越えに放つと、打者一巡後にも左中間へ走者一掃の3点二塁打だ。投げては玉村昇悟投手(20)が7回1失点の好投。首位の虎を封じて2勝目を挙げた。

 遅ればせながら量産態勢に入った。2回先頭、鈴木誠が2戦連発となる先制の12号特大弾。西勇がカウント1―1から投じた内角低めシュートを振り抜くと、打球は左翼3階コンコース奥へと消えた。これで6戦4発。主砲は破顔一笑だ。

 「たまたまいい反応で打つことができた。玉村が頑張っていたので良かったです」

 相手は、阪神移籍後の15試合で9勝を献上する天敵。攻略への号砲を鳴らした主砲は、打者一巡の猛攻をも締めた。4点を奪い、なおも2死満塁で2度目の打席が回り、今度は外角高めの甘いスライダーを左中間へ走者一掃の3点二塁打だ。

 「西さんは簡単に打ち崩せない。今日のように点が取れるのはなかなかない。林は打てていなかったけど、好投手と対戦すると技術は上がる。僕も同じ。周りの投手に成長させてもらっています」

 浮かれず足もとを見つめる26歳。原体験はあった。入団1年目、13年3月26日の由宇球場。ウエスタン・リーグの阪神戦の先発マウンドには能見(オリックス投手兼任コーチ)が上がっていた。第1打席こそ遊撃内野安打を放ったものの、以降の2打席は空振り三振に倒れ、強い衝撃を受けた。

 「手が出なかった。そんなに練習しなくても打てる…とタカをくくっていたところがあったけど、これはヤバい…と。そこからですよ。必死に練習しないと生き残れないと思ってやり始めたのは」

 侍ジャパンの4番筆頭候補と目され、今や球界最上位に上り詰めたスラッガーの強打の源泉。今季は新型コロナ感染による体力低下などで、経験したことのない不振に苦しんできた。脱出へ、試合に出場しながら必死に練習し、ようやく本来の姿に戻りつつある。

 「ふがいない試合ばかりでファンの方々を悲しませていますが、今後はプレーで喜ばせられるように頑張ります。今はヤジばかりなので、いい声援を送ってもらえるように」

 鈴木誠らしい、ウイットに富むお立ち台での逆襲宣言。主砲の復調は、金メダルを目指す東京五輪はもちろん、最下位からの巻き返しを図るチームにとっても心強い。(江尾 卓也)

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2021年7月3日のニュース