ファンの“見たい”に応える時代 球宴で「大谷ルール」改正は十分にある

[ 2021年7月3日 06:00 ]

オールスターに選出された大谷(AP)
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 【記者の目】今年の米球宴のテーマの一つは「世代交代」である。昨年はコロナ禍で中止となり、レギュラーシーズンも60試合の短縮。野球に飢えていたファンは今季、ニューヒーローの登場に熱狂している。ゲレロ、タティスの22歳の2世コンビであり、そして大谷だ。本塁打競争にも出場する大谷は最大の目玉。人気回復の起爆剤としたいMLBが、二刀流出場を認めるルール変更に動く可能性は十分ある。

 91回目の開催。歴史と伝統を重んじるMLBだが、近年は球宴のルール変更には柔軟になっている。契機となったのは02年。両リーグが全選手を使い果たし、延長11回で史上初の打ち切りドロー(降雨コールドを除く)となった。球宴でも最後まで決着をつけるのが伝統。現地ミルウォーキーで取材していたが、大ブーイングの中で試合終了となった。

 選手の故障に配慮し、時代にも即した変更。10年には(1)登録枠拡大(2)ナ・リーグ球場でもDH制(3)前半戦最終戦に先発した投手は登板できない――のほか、(4)最後の野手が故障や退場した場合のみ、交代した選手が再出場できる「リエントリー」も認められた。これを「大谷ルール」に改正すれば、DHで先発し退いた後、投手で登板する二刀流が可能となる。それならDHを解除する必要もない。

 03~16年には勝者リーグにワールドシリーズの本拠地開幕権を与える方式が採用され、真剣勝負をうたった時期もあった。今はファンが見たいものを提供する祭典。それこそが大谷の二刀流ではないか。(スポーツ部野球担当部長・甘利陽一)

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2021年7月3日のニュース