エンゼルス・大谷 キング1差17号は自己最長143メートル超特大弾

[ 2021年6月10日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス8ー1ロイヤルズ ( 2021年6月8日    アナハイム )

<エンゼルス・ロイヤルズ>17号2ランを放ち、笑顔を見せる大谷(AP)
Photo By AP

 エンゼルスの大谷翔平投手(26)は8日(日本時間9日)、ロイヤルズ戦に「2番・DH」で出場し、初回に先制の17号2ランを放った。両リーグトップに1本差と迫った一撃は、470フィート(約143・3メートル)のメジャー自己最長飛距離。過去3年合計で6本だった左投手からは早くも6本目で並んだ。進化が止まらない今季の大谷の凄みが凝縮されたアーチだった。

 すさまじい音。芯で捉えたにもかかわらず、バットが砕けるような音がした。初回無死一塁。左腕バビクが投じた80マイル(約129キロ)のチェンジアップを、大谷が文字通り打ち砕いた。

 「この球場であそこまで遠くに飛んだ打球は、今までに見たことがない」。大リーグの指導者として28年目を迎えるジョー・マドン監督は目を丸くした。

 右中間スタンド上段で弾んだ打球は、飛距離470フィート。メジャー4年目にして自身初の140メートル超えで、今季両リーグを通じて5番目の飛距離となった。チーム全体で5本塁打8得点の快勝へと導く一発に、大谷は「いいホームランで、いいスタートが切れて良かった」と笑顔を見せた。

 一般的に投手が有利とされる「左対左」で、19年以降では両リーグ3番目に飛んだアーチでもある。左腕からの本塁打が18年に2本、19年に3本、20年に1本と少なかった大谷だが、既にその合計となる6本目。背景には、春季キャンプから一貫した打撃フォームの安定がある。

 昨季までは試合や打席ごとに微調整を繰り返した打撃フォームに、今季は一切迷いがない。右足を10センチほど引いたオープンスタンスは、投手の左右に関係なく一定。「フライングエルボー」と呼ばれる、左脇を空け肘を高く上げたトップの位置にもブレがなく、「構えで決まる。見え方が大事」という大谷にとって理想といえる。今季本塁打の平均飛距離127・1メートルも、米4年目で自己最長だ。

 一昨年に手術を受けた左膝の不安が消え、筋力強化にも成功。安定感と強さを増した下半身主導のフォームが大きなトルク(回転力)を生み、アッパー気味に大きく取るフォロースルーでさらなる飛距離が加わる。3回には同じバビクのカーブを鋭いライナーで右中間二塁打。打球速度は112・6マイル(約181キロ)で、本塁打の111・7マイル(約180キロ)をも上回った。

 前日までの2試合連続3四球など、主砲トラウトの離脱後はマークが厳しい。走者一塁の初回、先頭打者の3回と、相手が四球で逃げづらい場面で確実に仕留めた。

 自身初の球宴選出も確実視される二刀流。昨季メジャーデビューし、今回が初対戦だった23歳の成長株バビクは「大谷が大谷であるには理由がある」と思い知った。(笹田幸嗣通信員)

 《今季&球団5位》「スタットキャスト」が導入された15年以降のレギュラーシーズンで、メジャー最長の本塁打はタイガースの左打者マザラがレンジャーズ時代の19年にマークした505フィート(約153.9メートル)。エンゼルスに限れば、トラウトが19年に最長の486フィート(約148.1メートル)を記録するなど4位まで独占し、大谷の470フィート弾は5位に入った。

続きを表示

この記事のフォト

2021年6月10日のニュース