ダルビッシュ 打席でリゾの登場曲「Intoxicated」、マウンドで「道」を流した理由

[ 2021年6月10日 21:25 ]

カブス戦に先発したパドレス・ダルビッシュ(AP)
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 パドレスのダルビッシュ有投手(34)が9日(日本時間10日)、サンディエゴでのカブス戦で今季13度目の先発登板に臨んだ。18年から20年まで3シーズン在籍したカブスと移籍後初の対決で、7回2失点と好投しながら、味方の援護はわずか1点で今季2敗目を喫した。

 
 5回無死一塁。ダルビッシュが打席に向かうと、本拠地ペトコ・パークにアップテンポな音楽が鳴り響いた。カブス時代にサポートを受けていた元同僚のリゾの登場曲「Intoxicated(夢中)」だ。
 「自分が全然だめだった時に、リゾがチームに迎え入れようと、僕のことを引っ張ってくれた。その感謝の意味もありますし、すごく仲が良いのもあったので、カブスが(サンディエゴに)来るときに使いたいと思っていた」

 カブス移籍2年目の19年4月20日のダイヤモンドバックス戦。ダルビッシュは2回までに2本のホームランなどで3失点。ベンチで意気消沈していると、リゾがやってきた。

 「お前はマウンドで考えすぎている。でも俺たちバッターはお前と対戦するのが怖いんだ。シャーザーやカーショーと一緒だ。お前がばんばんいけば打てない。逆にお前がいろんなことを考えて後ろ向きだったら、俺らは打てる。怒れ、ダルビッシュ!」

 この試合は5回で降板したが、ダルビッシュはリゾの言葉に発奮。5回は2番から4番の強打者を直球でグイグイ押し、「まっすぐに強いので投げなくていいと言われていたけど、まっすぐでチャレンジしたんねん」と11球で2三振を奪った。

 あれから2年。ダルビッシュはリゾに打者を畏怖させるピッチングを見せた。2回先頭のリゾとの対戦では96・4マイル(約155キロ)の直球で空振り三振。苦手なデーゲームにもかかわらず「球速も今季1番か2番だった」というように、最速97・2マイル(約156・4キロ)の直球で押し、カットボール、スプリット、カーブも有効で8三振を奪った。

 4回に先頭の1番・ピダーソンに88マイル(約141・6キロ)の内角低めのカットボールを右越えソロ本塁打。7回は無死一、三塁のピンチにリゾをカットボールで二ゴロ併殺に討ち取ったが、その間に三走のハップが生還、勝ち越し点を許した。しかしダルビッシュはこの日のピッチングに悔いはないと言い切る。

 「あるとしたら5回、点は取られなかったけど、捕手を歩かせたのはもったいなかった」

 この日、初回のマウンドに立つ際は、GReeeeNの「道」を登場曲として流した。 「ピッチングの登場曲はカブスでダメだったときに使い始めた『道』。その時を思い出しました」。

 使い始めたのは19年5月9日のマーリンズ戦。1安打1失点だったが、6四球で4回降板。投手を歩かせたときは、地元ファンの容赦ないブーイングも浴びた。苦しかったが、復活に向け一歩一歩歩んでいた時期でもあった。

 「シカゴで地獄も天国も味わった」。完全復活の今も、その時の気持ちは忘れない。(奥田秀樹通信員) 

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2021年6月10日のニュース