8強の関学大 上級生、下級生の隔てない「ファミリー制度」が生んだ結束力で逆転勝ち

[ 2021年6月10日 05:30 ]

第70回全日本大学野球選手権第3日 2回戦   関学大6-4国際武道大 ( 2021年6月9日    神宮 )

<全日本大学野球選手権 国際武道大・関西学院大>8回1死一塁、左中間に2ラン本塁打を放った関西学院大・石井(左から2人目)はナインから出迎えられる(撮影・郡司 修)
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 2回戦6試合があり、8強が決まった。関学大は国際武道大を破り、59年以来の大会2勝。1―4の8回に石井雄也内野手(2年)の左越え2ランなどで一挙5得点を挙げて逆転した。

 今年のキーワード「つながり」を象徴する関学大の逆転劇だった。3点を追う8回、打者11人の攻撃で一挙5点。52年の第1回大会決勝で敗れた慶大への挑戦権を手にした。

 火付け役は「6番・DH」の石井雄だ。1死一塁で左中間へ特大2ラン。大阪桐蔭では捕手、入学直後に三塁を志願してレギュラーをつかんだ。根尾昂(中日)らの1学年下で、自分たちの代では甲子園に行けなかった。全国の舞台での“一発回答”に「流れを変える一打を打たないとと思っていた」と拳を握った。なおも1死満塁とし、押し出し四球で同点。暴投で決勝点を得た。

 主将の杉園大樹が昨年11月の新チーム結成からスタートさせたのが「ファミリー制度」だ。各学年3~4人で約15人の「ファミリー」をつくり、野球の話だけでなくオンライン飲み会を開催。上級生が下級生の私生活や授業の相談に乗ったりすることで結束した。試合前日にはメンバー外の下級生からファミリーのグループラインに激励メッセージが届くようになり、先発では唯一の2年生、石井もリーグ戦中から「先輩たちを勝たせたい」と言い続けてきた。

 結束力が生んだ逆転劇。出場27校で最多258人の部員を束ねる杉園は「“つながり”があるのが自分たちの野球。次も一戦必勝」と誓った。(北野 将市)

 《黒原は温存》3投手の継投で今秋ドラフト上位候補の最速151キロ左腕・黒原拓未を温存。本荘雅章監督は逆転以降も「代えるつもりはなかった」と断言した。6回途中から3回2/3無失点の好救援だった鈴木翔也は「最後まで投げるというより、一人一人抑えようと思った。最少失点でいけば、打線は何かやってくれると思っていた」と胸を張った。

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2021年6月10日のニュース