V打見てくれたか?大活躍の阪神・北條、実は能見の長男の「憧れの野球選手」

[ 2021年6月3日 05:30 ]

交流戦   阪神2-1オリックス ( 2021年6月2日    甲子園 )

<神・オ>5回裏1死一、二塁、左前適時打を放ち、ベンチに向かって笑顔でポーズを決める北條(撮影・北條 貴史)
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 阪神は2日、オリックスに2―1で競り勝ち、6月初勝利を挙げた。再昇格し即「2番・二塁」で今季初のスタメン出場を果たした北條史也内野手(26)が先制打を含む2打席連続の適時打で全得点を叩き出す活躍。今季はベンチスタートに甘んじ、故障離脱も経験した男が、逆襲を告げる快音でチームを再加速させる。

 塁上でのガッツポーズが映える。北條史也の意地と執念が詰まった2本。この瞬間を待っていた。

 「チャンスで回ってこい!という気持ちで待ってました」

 3回の第2打席は願い通り2死二塁で巡ってきた。フルカウントから150キロ直球を振り抜き、三遊間を抜く左前への先制打。「追い込まれてしまったので粘って食らいついていく、バットに当てることだけ考えてました」と振り返った。

 勢いは止まらない。5回1死一、二塁の第3打席も3ボール2ストライクからチェンジアップに食らいつき、左前へ。2打席連続の適時打で開幕から5連勝中のオリックス・宮城から貴重な2点をもぎ取り、難攻不落の左腕を撃ち落とした。

 「自分の打撃のレベルアップ。毎日、一つでも多く考えてバッティングしてました」

 左足首を痛めて4月24日に登録抹消。リハビリを経て直近の2軍戦5試合で19打数8安打と結果を残し、再昇格してきた。即スタメンに抜てきした矢野監督の期待にこれ以上ない結果で応える躍動。守備では、初回2死満塁で伏見のゴロに飛びつく好捕を見せ「逆つかれて滑ってこけました。それがファインプレーに見えたんじゃないか」と笑った。それでも、粘投の秋山にバックから励ましの声を送り続けるなど、グラウンドでできることを精いっぱいに表現。故障前もベンチスタートに甘んじ、今季初の先発出場。出番に飢えた26歳が存在意義を誇示した。

 響いた2つの快音は、聖地の虎党はもちろんのこと「ある少年」の心もわしづかみにしたはずだ。実は、昨年までチームメートだった能見の長男で小学生の凌成(りょうせい)君が大の北條ファン。先輩左腕からは「ジョーの打撃フォームをまねてずっとバットを振ってるよ」と伝えられたことがあった。数年前には、食事の席で“能見ジュニア”とついに対面。その時は恥ずかしがってモノマネは封印されたというが「めっちゃうれしいです。あの能見さんのお子さんに…」とうれしそうにステーキハウスでのひとときを振り返った。

 「毎日試合が続くので、1試合1試合全力でやるだけっていうか。そういう感じでいきます」。チームの勢いに乗り遅れるわけにはいかない。北條の進撃はこれからだ。(遠藤 礼)

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