大阪桐蔭の消えた天才は社会人野球で復活 JFE東日本・峯本匠が押した「やる気スイッチ」

[ 2021年6月3日 18:56 ]

日本選手権大会 関東代表決定戦   JFE東日本3―1日立製作所 ( 2021年6月3日    等々力 )

5回に右前適時打を放った峯本(撮影・柳内 遼平)
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 JFE東日本(千葉)は日立製作所(茨城)に3―1で競り勝ち、2大会連続11度目の日本選手権本大会出場を決めた。3年目の峯本匠内野手(25)は「3番・二塁」で先発出場。2―1で迎えた5回に追加点となる右前適時打を放ち「貴重な1点だったのでうれしい。投手を援護できてよかった」と笑顔を見せた。

 峯本は甲子園のスターだった。大阪桐蔭3年時に出場した夏の甲子園は「2番・二塁」で6試合に出場。左の強打者は打率・500、出塁率・633、5打点の成績を残して日本一に貢献。準決勝の敦賀気比戦は逆方向の左中間へアーチを架け、高校野球ファンに強烈な印象を残した。

 高校卒業後は東京六大学野球の立大に進学。活躍が期待されたが、4年間の通算成績は24試合で11安打、打率・180と期待を裏切るものだった。

 「燃え尽き症候群」だった。高校で日本一の高みに達したことで「野球をやりきった感がありました」。練習に身が入らず「大学生がやる遊びは全部やりました。毎日がパラダイスでした」と抑えてきた欲があふれた。チームメートから激励を受けることもあったが、4年春は故障もあり「やる気スイッチが完全に切れました」と振り返る。

 だが、輝く才能を錆びつかせていた峯本に声をかけた人がいた。JFE東日本・落合成紀監督は「もう1度、社会人野球で頑張ってみないか」とオファーを出した。想定していなかった誘いに峯本は驚いたが、それ以上にある思いがこみ上げてきた。「“ちゃらんぽらん”な自分を採用するのは相当な覚悟がいる。落合さんの顔を立てたい」。スイッチは再びオンに。消えた天才は社会人野球の強豪・JFE東日本でリスタートを切った。

 華麗な復活だった。1年目は都市対抗に出場し、5試合で17打数7安打、打率・412、4打点で優勝に貢献し、若獅子賞を受賞。2年目も都市対抗に出場。3年目の今年は日本選手権出場の権利を得た。
 試合後、峯本は充実した表情で言った。「また1回、監督に恩返しができたのかなと思います。(自分が)現役の間はずっと恩を返し続けたい」。糸を引くような鋭い打球には感謝が込められていた。(柳内 遼平)

 ◇峯本 匠(みねもと・たくみ)1996年4月4日生まれ、兵庫県出身の25歳。幼稚園年中で野球を始める。大阪桐蔭では3度甲子園に出場。立大では1年春のリーグ戦で公式戦デビュー。19年からJFE東日本でプレー。1メートル73、80キロ。右投げ左打ち。

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