思い出す杜の星屑球宴

[ 2021年5月30日 08:30 ]

<全パ・全セ>2007オールスターゲーム第2戦、力投する楽天・田中将大
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 東南の夜空は雲に覆われていた。仕事が休みだった26日の午後7時半以降、自宅から度々、外に出て空を見上げた。期待したスーパームーンの皆既月食。だが、無情の曇り空で星さえも見つからず…。月明かりが見えたのは、皆既月食が終わり明るくなり始めてしばらくしてから。しかも、雲を通したぼんやりした輪郭の月だった。

 2日後の28日。「マイナビオールスターゲーム2021」の開催要項の発表会見が行われた。今季の球宴開催は7月16日がメットライフドーム、17日が楽天生命パーク。仙台での球宴開催は東日本大震災が発生した11年以来10年ぶりとなる。

 天体ショーからの球宴の話題で思い出したことがあった。11年の4年前。記者が楽天担当だった07年も、仙台で球宴が開催された。当時は「ガリバーオールスターゲーム」とスポンサーも違っていた。07年と言えば田中将、嶋(現ヤクルト)、渡辺直人(現楽天コーチ)らのプロ1年目。「マー君フィーバー」と地元開催もあり、球宴ファン投票では楽天勢がパの12枠中、8枠を独占。当時、78年の日本ハム以来となるファン投票では1球団最多記録だった。

 当時の野村克也監督の言葉を思い出す。下位チームからの大量選出に「オールスターダストや」とぼやいた。スターダスト=星屑。同年に打線がつながると「星屑打線爆発」など、スポニチでも何度も見出しに使われた。15年ぶりの仙台開催だった7月23日の球宴第2戦は、山崎武司が先制2ランも、先発の田中将が2回6失点。雨天コールドで当時の守護神・福盛の出番がなくなるなど、見どころ満載だった。

 東日本大震災後10年の節目で、田中将が日本球界に復帰。そんな21年の球宴はどうなるのだろう。注目の阪神・佐藤輝は、祖父の勲さんが宮城県在住。ロッテの佐々木朗も東北出身だ。29日にはファン投票がスタート。何よりも沢山のファンの記憶に残る球宴になればと、夜空に祈ってみた。(記者コラム・春川 英樹)

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2021年5月30日のニュース