矢野監督「痛い」8回の中野スリーバント失敗　阪神“小休止”3度目零敗　最後の執念リプレー検証実らず

交流戦   阪神0ー1西武 （ 2021年5月29日    メットライフD ）

＜西・神（2）＞　8回無死一塁、中野はスリーバント失敗に終わる（撮影・後藤　大輝）
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　阪神は29日の西武戦に0―1で敗れた。4月8日の巨人戦を最後に1カ月半以上もなかった3度目の零敗。セ・リーグトップの得点を誇る強力打線が4安打にとどまった。9回最後の打者になったメル・ロハス・ジュニア外野手（31）の左邪飛では矢野燿大監督（52）がリクエストし、リプレー検証の結果にも食い下がった。交流戦2カード連続の負け越し阻止へ、きょう30日は白星で5月を締めたい。

　リクエスト失敗によるあっけない幕切れだった。9回2死二塁からロハスが放った左翼ファウルゾーンへの飛球は防球ネット際で岸に好捕された。打球がネットに接触したようにも見えた中、リプレー検証でも左邪飛の判定は変わらない。敗戦が決まった後も矢野監督は約3分間にわたって審判団に説明を求め、最後は表情を曇らせたままベンチ裏へと姿を消した。

　「ビデオ判定の後に抗議ができないのは分かっているんだけど。上の方に当たったように見えた。その確認をしに行ったんだけど」

　最後の“抵抗”も実らず、4月8日の巨人戦以来となる零敗に沈んだ。4本塁打を含む11安打10得点で大逆転勝利した前夜から一転、自慢の強力打線が沈黙。少なからず好機はあり、中でも8回をポイントに挙げた。

　「バントができなかったという流れの中で。送れなかったというのは、流れ的には痛い。アイツのところで、そういう作戦というのはこれからも出る」

　わずか1点を追い、先頭の近本が8球粘って四球で出塁。中野には送りバントを指示した。初球はファウル。カウント1―1からの3球目を見送り、追い込まれた。強攻に切り替えた4、5球目のファウルを挟み、6球目に試みたスリーバントがファウルになった。続くマルテも二ゴロ併殺で攻撃はついえた。

　中野は糸原の離脱後、2番に抜てきされて7試合目。プロで犠打はまだ一度もない。打力が高く評価されていても、僅差終盤でのバントは必要な役割で、矢野監督も表情を厳しくした。

　「初回がね。チャンスあったかなというところを逃してしまって。あの回（8回）も中野のバントで流れが…ていうところ。何とも言いようがないかな」

　近本、中野の連打で無死一、二塁とした初回は中軸が凡退。7回2死満塁で投入した代打・糸井も空振り三振に倒れ、珍しく本塁が遠かった。きょう30日はドラフト5位・村上が初登板初先発。「援護を早めにしてもらいたい」。矢野監督が望むように小休止は1日だけにしたい。（山本　浩之）

　○…阪神の無得点試合は4月8日の巨人戦以来3度目（3敗）。これまでセ・リーグで最も少なかったが、巨人（3敗）ヤクルト（2敗1分け）に並んだ。