広島・クロン 新助っ人では28年ぶり満塁弾 内容詰まった高め攻略「いいスイングができ始めている」

[ 2021年3月10日 05:30 ]

オープン戦   広島4-6阪神 ( 2021年3月9日    甲子園 )

<オープン戦 神・広> 3回2死満塁、逆転の満塁弾を放ち、松山(左)とハイタッチをかわすクロン(撮影・大森 寛明)
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 広島の新外国人ケビン・クロン内野手(27=ダイヤモンドバックス)が9日、阪神とのオープン戦で2試合連発となる満塁弾を放った。球団新助っ人がオープン戦で満塁弾を放ったのは93年メディーナ以来28年ぶり。試合前打率・111と不振に悩んでいた大砲が本領を見せ始めてきた。

 高めを仕留めたことに、大きな価値があった。クロンは、2回先頭の第1打席で西純の高め直球に二飛と詰まらされ、3回2死満塁の場面でも徹底的に高めを攻められた。そして、カウント1―2からの5球目。真ん中高めに浮いた直球を豪快にかち上げると、左中間席への満塁弾となった。攻略に成功だ。

 「とにかく打点を挙げようという気持ちで打席に入った。本塁打となったのは、ボーナス。中軸として打点を挙げることができたので合格点だと思う」

 7日ヤクルト戦で低め直球を左中間ソロとしたように、これまでの対外試合で放った3安打は、全て得意とする真ん中から低めを捉えたものだった。裏を返せば、高め直球を攻略できずにいた。そして追い込まれてから外角変化球を振らされ、計30打席13三振、打率・111。それが今回のように高めを克服できれば話も変わってくる。自然と三振減につながっていくはずだ。

 「しっかりと球を見極めることができ始めている。その中で高めの球を、ああいう形で捉えられた。いいスイングができ始めているのかなと思う」

 今回の一発で2試合連続本塁打となり、超速来日の効果も表れつつある。コロナ下で外国人の来日が軒並みかなわない中、新助っ人では異例の春季キャンプ参加が実現。昨季メジャー出場8試合18打席にとどまった実戦感覚を取り戻すべく、紅白戦を含めた全ての実戦に先発出場して打席を積み重ねている。

 「沖縄にいるときは“開幕まで2カ月もある。結果が出なくても我慢しよう”と思って、いい練習をすることを心掛けてきた。タイミングさえ合ってくれば打てると思っていたし、今は少しずつタイミングをいい形で取れるようになってきていると思う」

 佐々岡監督は「打撃練習ではだいぶ良くなっている」と評価した上で、「変化球が多くなってきたときに、低めをいかに我慢できるかだろう」と次のステップにも期待した。衝撃の満弾には、今後につながる収穫があった。 (河合 洋介)

 ○…クロン(広)が3回、左越えに2号満塁弾。広島選手のオープン戦満塁弾は19年3月9日、鈴木がDeNA戦(福山)の4回に打って以来2年ぶりで、外国人選手では01年3月3日、西武戦(松山)のロペス以来20年ぶり。来日1年目に限れば93年3月23日、中日戦(ナゴヤ)のメディーナ以来28年ぶりになる。甲子園のオープン戦で満塁弾が出るのは珍しく、全球団で見ても91年3月15日に前田智徳(広)が阪神戦8回に打って以来30年ぶり。

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