東大生が選んだ野球部マネジャーという仕事――明治安田生命・籔博貴さん

[ 2021年3月10日 05:30 ]

第75回JABA東京スポニチ大会第1日 予選リーグCブロック   明治安田生命2―1日本新薬 ( 2021年3月9日    神宮 )

明治安田生命野球部でマネジャーを務める籔博貴さん(撮影・柳内 遼平)
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 球春到来を告げる社会人野球の「第75回JABA東京スポニチ大会」が9日、開幕した。神宮球場の第1試合は明治安田生命が接戦の末、2―1で日本新薬に勝利。ベンチ入りした東大野球部出身のマネジャー・籔博貴さん(29)にとって神宮球場は思い出深い特別な場所だ。

 明治安田生命野球部のマネジャーになって6年目。スケジュールや会計の管理、メディア対応などの業務でチームを運営する。連戦の際は深夜まで道具の準備や書類の作成に追われることもあるが「野球に関われる仕事が楽しい。自分の好きなことを仕事にできていることに感謝したい」と目を輝かせる。

 東大を目指したきっかけは斎藤佑樹投手(現日本ハム)が見せた東京六大学野球での活躍。早実で甲子園のスターとなり、早大で1年から神宮の舞台で躍動するハンカチ王子に当時、高校生だった籔さんは憧れた。小学1年から野球を続け、進学校の奈良・西大和学園に進んだ文武両道の籔さんは「自分が大学1年のときに斎藤投手は4年。同じ舞台に立つことができる」と考え、東大野球部に入ることを決意した。

 猛勉強の末、合格を勝ち取り東大野球部に入部を果たしたが、1年浪人したため、憧れの右腕は日本ハムに入団していた。

 1年秋にマネジャーに転向した。後の道を決定づけた決断を「レベルを目の当たりにして、選手としては大成は難しいと感じた。マネジャーとして名前を残すくらいの気持ちで頑張ろう思った」と話す。試合に向かっていく選手をサポートする仕事にやりがいを感じ、4年では部の運営を統括する主務を務めた。卒業後も同じ道を希望し、明治安田生命に入社。野球部のマネジャーとなった。

 東大では1つだけ後悔があった。籔さんの代(14年度末に卒業)はリーグ戦未勝利で終わった。連敗は15年5月に94で止まるまで続いた。

 だからこそ、明治安田生命で味わう勝利は格別だ。19年は都市対抗で勝利を挙げ「お祭りのような雰囲気だった」と振り返る。

 「毎年都市対抗に出ることができるようにサポートしたい」。好きこそ物の上手なれを体現する。

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2021年3月10日のニュース