“またも節目”阪神・佐藤輝 甲子園デビュー戦で適時打 新人初打席は19年ぶり「何なんですかね」

[ 2021年3月10日 05:30 ]

オープン戦   阪神6ー4広島 ( 2021年3月9日    甲子園 )

<阪神><神・広>初回、佐藤輝が右前適時打を放つ(撮影・北條 貴史)
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 阪神ドラフト1位・佐藤輝明内野手(21=近大)が本拠地・甲子園デビューとなった9日の広島戦で聖地初打席初適時打と輝きを放った。初めて6番で先発出場し初回2死一、二塁の好機で痛烈な一撃。2002年の浅井良以来19年ぶりとなる一打を記録した大物ルーキーについて、矢野燿大監督(52)は6番起用の構想を温めていることを明かした。阪神はオープン戦単独首位に浮上した。

 タテジマに身を包んで迎えた甲子園初戦の初打席だった。並の選手なら緊張の一瞬でも、佐藤輝は通常運転だ。

 「最後に浮いてきたボールを逃さずに捉えることができた」

 1点を先制し、なおも2死一、二塁。5131人の観衆からの大きな拍手を背に受けながら、初打席へ。プロ初体験となった有観客の聖地。「集中していたので覚えていないですが、そうやって声援していただいたのはすごくうれしかった」。集中力を研ぎ澄まし、右腕・矢崎と対した。

 フルカウントから内角へのスライダーを捉えた。打球は痛烈なライナーで、一塁手・クロンが差し出したグラブを越えた。二塁走者・大山を迎え入れる右前適時打。塁上で表情一つ変えない大物新人に、虎党からさらなる拍手が送られた。

 「勝負強いかは分からないですけど…何なんですかね」

 球団新人では02年3月12日のロッテ戦で浅井良が放って以来の甲子園初打席初タイムリーだった。初の対外試合だった2月9日の日本ハム戦の右越え2ラン、オープン戦初戦の5日・ソフトバンク戦の石川からの左翼への一発と、節目の試合で結果を残し続ける「千両役者」。その要因を問われると、困ったように小首をかしげた。

 これまで甲子園の阪神戦と言えば、満員のスタンドで観戦する側だった。それがプロとしてプレーする側に。「やっぱりここが本拠地になるので。ファンの方が自分のタオルを掲げてくれていたのでうれしかった」。自身の名が入った水色のタオルを掲げたファンの姿に、プロとしての喜びをかみしめた。

 「まだ人数は少ないですけど、すごく声援も聞こえて。これがもっと入るようになったらと思うと、すごい。もっとシーズンで拍手をしてもらえるように頑張ります」

 この日はキャンプ中の紅白戦を含む実戦16試合目で初めて6番起用された。矢野監督は「チームとしては6番ぐらいが一番アイツのハマるところかなと現状、思っているけど」と構想を温めていることを明かした。チームは着々と開幕モード。その流れに乗り遅れるわけにはいかない。「しっかり強く振るのが自分の持っているもの。それをコンタクトできるよう練習します」。強烈なスイングに正確性をまとわせ、開幕に向かう。 (阪井 日向)

 ○…佐藤輝(神)が甲子園初打席の初回、右前へ適時打。阪神の新人がオープン戦の甲子園初打席で安打は19年3月9日、木浪の右線二塁打以来2年ぶり。打点もついたのは02年の浅井良以来19年ぶりで、3月12日のロッテ戦2回に左前へ適時打を放った。

 《両親も生観戦 父・博信さん「最高の出だし」》
 佐藤輝の両親が甲子園のスタンドでプロ入り後初めて息子の試合を生観戦した。小学6年時の阪神タイガースジュニア在籍時は実戦出場がなかったため、両親にとっては念願のタテジマ姿。父・博信さん(53)は「勝てたのが何よりもよかったことで、その中で彼が打点を挙げて勝ったのは、もう最高の出だしじゃないですか。しかもお客さんが入っている中で」と目を細め、母・晶子さん(48)は「甲子園で大学の時は見ていますけど、やっぱり違いますね。お客さんが沸いてくれるというか。結構ドキドキしながら見てました」と聖地の臨場感に興奮を隠さなかった。開幕に向けて期待も高まる中、「何よりもバッターボックスに立ってああいうボールを経験するのが彼にとって意味のあること」と博信さん。晶子さんは「疲れもたまってきているだろうし、ケガしないように」と体調を思いやった。ちなみに愛息に取ってもらったこの日の観客席が、プロ入り後初のプレゼントとなった。

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