三島南 21世紀枠でセンバツ 創部100年で春夏通じて初の甲子園

[ 2021年1月30日 05:30 ]

創部100年に春夏通じて初の甲子園出場を果たし、歓喜の三島南ナイン
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 節目の年に“サクラ咲ク”。第93回選抜高校野球大会(センバツ、3月19日から13日間、甲子園)の選考委員会が29日、大阪市内で行われ、三島南が21世紀枠で初選出された。甲子園は創部100年で春夏通じて初出場。県勢では昨年の加藤学園に続いて、2年連続出場、21世紀枠では初めての選出となった。

 1921年(大10)の創部から大正、昭和、平成、そして令和。4つの元号、1世紀にわたり歴史を積み重ねてきた伝統校の悲願がついにかなった。

 午後3時33分、高野連からの連絡を受けた持山育央校長(52)がグラウンドで待つナインの元へ向かう。「選抜高校野球大会出場の推薦を頂きました。甲子園出場本当におめでとう!」。吉報が告げられた瞬間、マスク越しに緊張感に満ちていた選手たちの表情が一斉に緩んだ。主将の伊藤侍玄外野手(2年)は喜びを語るとともに「県、東海と推薦校に選んでいただき、今日(29日)の決定を受けて責任感がさらに高まりました。しっかりとした試合ができるように準備したい」と決意を新たに。知らせを聞いてうれし涙を流した前田銀治投手(同)は「甲子園出場の夢がかなうとは正直思っていなかったので感動しました。持ち味の直球と長打力を発揮できるように頑張りたい」と早くも憧れの舞台での活躍を誓った。

 選考理由の一つが稲木恵介監督(41)が就任した14年から行っている地域貢献活動だ。県野球協議会の公式サイトによると、07年から昨年にかけ県内学童チーム数は「292」から「263」へ減少。登録選手数は約9000人から4443人へと半減した。競技の普及のため幼稚園などの未就学児童を対象に、ここまで1000人を超える児童に野球の楽しさを伝えてきた。稲木監督はこの日午前3時に三嶋大社へ「これまで続けてきた活動が評価されますように」と54円(甲子園)のおさい銭を手に参拝。見事に願いが通じ「正直信じられない気持ち。地道な活動を評価していただいたので感謝でいっぱいです」と目を細めた。

 大会は3月19日に開幕。来月23日にはオンラインで組み合わせ抽選会が行われる。「強い相手がそろうが自分たちは必死に食らいつくだけ。一戦必勝で立ち向かっていきたい」と伊藤主将。東部の公立校では富士と富士宮西が出場した87年以来34年ぶりとなる聖地で、100年の伝統の力で大暴れする。(加賀田 篤)

 ◇県立三島南 1919年(大8)三島町立三島商業学校として開校。その後三島第二などを経て、1949年(昭24)から現校名。校訓は「自覚」。部活動は女子バレーボールや同ソフトテニスなどが盛ん。生徒数684人(女子433人)。野球部は1921年(大10)創部。春夏通じて甲子園出場はなし。主なOBは今季プロ野球関西独立リーグ和歌山に入団する田井良樹、作曲家の斉藤恒芳氏ら。部員31人(女子マネジャー4人含む)。持山育央校長。

 ▼豊岡武士三島市長 1921年の創部から100年目、また三島市制80周年という記念の年に、このような喜ばしい報告を受け、大変うれしく思います。努力を積み重ねた選手を称え、甲子園での活躍を期待し、市を挙げて応援していきたいと思います。

 ▼靜甲ソフトボール部・良知宏一監督 我々がかなえられなかった夢をかなえてくれてありがとうございます。甲子園でも伸び伸びとプレーしてください。

 ▼関西独立L和歌山・田井良樹投手 センバツ出場おめでとうございます。大人になってもできることが少ない中、高校生のうちから野球教室を含め地域貢献できること自体凄いこと。甲子園で勝ってる姿を見たいですけど、それ以上に楽しんでプレーしている姿を見たいです。

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