東播磨 創部48年目で初出場 グラウンドは甲子園と同じ黒土 日ごろから意識し、ついにサクラサク

[ 2021年1月30日 05:30 ]

<21世紀枠・東播磨>吉田校長からセンバツ出場の報告を聞く東播磨ナイン(撮影・井垣 忠夫)
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 第93回選抜高校野球大会に出場する32校が決まり、4校が選出された21世紀枠で東播磨(兵庫)が創部48年目で春夏通じて初出場を果たした。兵庫勢の21世紀枠出場は16年長田以来、3校目。昨秋九州大会優勝の大崎(長崎)は離島にある学校では16年春の小豆島(現小豆島中央)以来、8校目の甲子園出場となった。

 東播磨の部員36人(女子マネジャー4人を含む)は近くて遠かった聖地にそれぞれ思いをはせた。原正宗主将(2年)は「この冬はずっと不安でした。野球を始めた小学2年生からの夢の舞台。一度は校歌を」と意気込み、エースの鈴木悠仁(2年)は「素直にうれしかった。もっと練習しなければ…」と気持ちを新たにした。

 なじみのない県外の人のために「はりま」と呼ぶ。神戸市と明石市、加古川市、三木市に囲まれた小さな「加古郡」にある県立校が昨秋兵庫大会準優勝。近畿大会は初戦敗退も4強入りした市和歌山に1―2と接戦を演じた。コロナ下でオンラインやSNSを利用した野球指導やミーティングなど工夫を凝らした強化策で逆境克服に努め、地元住民らと連携し安全対策に取り組む活動も評価された。

 他部と共用するグラウンドの内野部分は甲子園と同じ黒土が敷いてある。卒業33回生が寄贈し今も阪神園芸が手入れにくる。鈴木は「日頃から甲子園を意識できました」と先輩たちに感謝した。

 その甲子園で、原は市和歌山・小園へのリベンジを宣言した。4打数無安打、2三振。「ものすごい球で手も足も出ませんでした。これがプロに行く投手なんだな…と。でも、やり返したい」。

 同じ公立の加古川北を08年夏、11年春に甲子園に導いた福村順一監督(48)は14年に就任した母校での出場に「感慨深いものがある。全力疾走を徹底した走塁のチーム」と紹介。「SNSは苦手だったのですが、分かっていると思ったことが違ったりと新たな発見があった。今まで以上にチームが“密”になれました」。走る姿にその人の心が表れる「走姿顕心」をアレンジした『走姿顕勢』が部訓。初めて踏む本家の黒土を、めいっぱいに駆け回る。 (畑野 理之)

 ◆東播磨高校 兵庫県加古郡稲美町にある県立校。1974年(昭49)に東播2市3町の組合立として創立され77年に県立に移管され現在の形となった。野球部も創立と同時に創部。放送部はNHK杯全国高校放送コンテスト優勝など数多くの受賞歴を誇り、演劇部も野球部をモチーフに映画化した戯曲「アルプススタンドのはしの方」で全国高校演劇大会で最優秀賞受賞。主な卒業生には16年リオデジャネイロ五輪の馬場馬術代表・黒木茜や「SASUKEオールスターズ」の山田勝己らがいる。

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