前代未聞の無観客キャンプ ロッテ鳥谷「自分たちでプレッシャーかけろ」

[ 2021年1月30日 09:00 ]

ZOZOマリンで自主トレを行った鳥谷(球団提供)
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 新型コロナウイルスの影響で、無観客という前代未聞の春季キャンプが2月1日から始まる。ロッテのベテラン・鳥谷は「ファンが見ていることは今までは当たり前だった。声援だったり、見られているプレッシャーだったり、そういう中でやったことで今の自分がある。ファンがいないならば、自分のたちでプレッシャーをかけないといけない」と独自の見解を口にした。

 大半の人間は周囲や環境に流されやすい。一方で、どんな環境でも、自分のやるべきことをできれば、誰でもレベルアップできると思う。沖縄・石垣島でキャンプを行うロッテは、ルーキーたちに加え、すでに先乗りして自主トレを行っている選手が多い。

 練習以外は、選手宿舎で各自が過ごしている。食事はホテルで済ませ、選手たちはそれぞれの部屋を往来しないようにとの通達まで出ている。大浴場もあるが、ここでも人数制限がある。昨秋の大量感染者を出しただけに、球団も再発予防に必死だ。

 選手たちには窮屈な時間だろう。ストレスも出てくるかもしれない。それでも、そんな環境の中で、必ず成長する選手は出てくるはずだ。鳥谷は「それぞれ課題は違うが、ずっと動き続けるのは難しくても、考えることはできる」とも言った。その通りだと思う。

 2000年以降、プロ野球界をリードしているソフトバンク、巨人、西武は宮崎をメインにキャンプを実施してきた。巨人は沖縄でもキャンプを張るようになったが、各球団の成績を見れば、温暖の地でキャンプをやった方が結果を残せるというわけではなさそうだ。

 初めてロッテを担当したのは05年だった。このときの鹿児島キャンプはとにかく寒かった。2月1日のキャンプ初日から雪に見舞われ、冷え込んだ室内練習場で体を震わせながら取材した。

 実にこの年の2月の鹿児島は15日も雪か雨だった。それでも、チームはリーグ優勝を果たした。1年目だった交流戦を制し、レギュラーシーズンは2位ながら、プレーオフでダイエーを下した。日本シリーズでも阪神を4連勝でスイープし、アジアシリーズも全勝で初代王者に輝いた。10勝以上の投手が6人、規定打席に到達し、打率3割以上の打者が4人。振り返れば、個人の成績がよかったのだ。

 翌06年は温暖なオーストラリアでキャンプを行い、当時のバレンタイン監督も納得の練習を積めたが、チームは夏場以降に失速して4位に終わった。キャンプでメニューを順調に消化できたからといって、最後の結果に直結するのかは分からない。

 今年は各球団とも、来日が遅れる外国人選手が多い。ロッテもエチェバリアは遊撃手をメインとするだけに、早めにサインプレーなどを確認さたいところだった。ただ、メジャーで通算922試合に出場したキャリアを考えれば、すぐに順応できると思う。

 エチェバリアが不在なことで、他の選手にはアピールの場が増える。チームプレーも大事だが、シーズンでは飛躍を遂げる選手がどれだけ出てくるかがチームの順位を左右する。各自がどんなことを考えて練習に取り組むかに注目だ。(記者コラム・横市 勇)

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2021年1月30日のニュース