上田西、創部60年で初のセンバツ 15年松商学園以来、長野県勢6年ぶりの春舞台

[ 2021年1月30日 05:30 ]

初のセンバツ出場が決まり喜びを爆発させる上田西ナイン
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 第93回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の出場32校を決める選考委員会が29日、オンラインで行われ、上田西が初めて代表に選ばれた。昨秋の北信越大会で常勝・星稜(石川)などを倒し準優勝と、粘り強い進撃が評価された。県勢では2015年の松商学園以来6年ぶりとなる春の大舞台。来月23日にリモートで組み合わせ抽選会が行われ、3月19日に兵庫県西宮市の甲子園球場で2年ぶりに開幕。最後まで諦めない一丸野球でコロナ禍を吹き飛ばす活躍が期待される。

 初めての春の便りが上田西に届いた。午後4時。「ありがたくお受けいたします。ありがとうございました」。本美伊佐夫校長は受話器を置くと表情を緩めた。創立と同じ1960年に誕生した野球部がつかんだセンバツ切符。寒風の吹くグラウンドで吉報を伝えられたマスク姿のナインは歓声を上げた。

 夏は13年と15年に甲子園出場も春はあと一歩が続いていた。大事な秋の北信越大会準決勝で、97年は新発田農(新潟)、12年は敦賀気比(福井)、18年は啓新(福井)に苦杯を喫していた。4度目の挑戦を実らせた昨秋の富山の陣。古豪の福井商、一昨年秋準Vの日本航空石川をコールドで連破して臨んだ星稜との準決勝に“らしさ”が凝縮していた。

 6回に2点を失い3点差とされたがその裏、5番・飛鳥井の2打席連続弾となる左越え3ランで追い付く粘り腰。8回は中堅・笹原の補殺でピンチを逃れ8番・小川の左前打で勝ち越し。エース山口も魂の150球完投でリードを死守し、秋3連覇を狙った横綱を逆転で撃破した。

 続く敦賀気比との決勝は大敗。全国V経験校に力の差を見せつけられ、2番手以降の投手育成、チーム打率・407に見合った得点力アップに尽力してきた。その歩みはチーム一丸。スコアボードに5―16の屈辱のスコアを掲げ、投手陣は上田市内の北向観音まで往復25キロのランニング、打撃は木製バットで芯で捉える力を養った上で1キロ超のバットを振り込む日々。地域の新型コロナウイルス感染警戒レベルが高いため午後6時半完全下校と制約がある中、ナインもできるだけ分散し課題解消に励んできた。

 柳沢主将は「うれしい。名前負けせず最後まで粘り強く戦った結果」と喜びをかみしめ「全員が楽しく自分のプレーをできるようにしていきたい」と目標を掲げた。就任2年目の吉崎監督は「まずは舞台に立たせること。上田西の(これまでの)最高成績を上回りたい。2勝以上したい」。全国のファンが待ち望む令和初のセンバツ。怖れず、侮らず、諦めず――。上田西らしく全国にその名をとどろかす。(高地 浩志)

 〇…中日の川井雄太編成部プロスカウトも母校のセンバツ初出場を喜んだ。自身は左腕エースとして臨んだ97年秋の北信越大会準決勝で敗退しており「強いところしか出ていない大舞台なんで、うれしい。自分たちの力を発揮してほしい」と後輩たちにエール。吉崎監督は大東大の後輩でもあり「より親近感がある。アピールできれば、いい中学生が集まるようになる」と上位進出に期待を込めた。

 ▽学校法人上田学園上田西 男女共学の全日制私立校。普通科(進学コース、特進コース)に生徒880人(女子397人)が学ぶ。1960年(昭35)4月、上田城南として開校し、87年から現校名。進学率90%。スクールカラーはグリーン。他の部活動も盛んでレスリング部は全国常連、サッカー部は18年1月の全国高校選手権3位、軟式野球部は全国4強に3度と強豪。硬式野球部も在校生では高寺望夢が阪神に昨秋ドラフト7位で入団。1、2年生部員は59人(マネジャー4人を含む)。主な卒業生に藤沢亨明氏(西武球団職員)、藤森亮志(J3長野パルセイロ)。所在地は上田市下塩尻868。しなの鉄道西上田駅から徒歩5分。

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