健大高崎、2年連続センバツ切符 スタメン計153発の超重量打線「一発破壊」で初V狙う

[ 2021年1月30日 05:30 ]

「全国制覇」の横断幕を背にランニングする健大高崎の選手たち(撮影・篠原 岳夫)
Photo By スポニチ

 第93回選抜高校野球大会(3月19日から13日間、甲子園)の選考委員会が29日、オンライン形式で行われ、高崎健康福祉大高崎は2年連続5度目の出場を決めた。昨秋は従来の機動力で圧倒する「機動破壊」に加えて、公式戦10試合で15本塁打の長打力も披露。新たな野球で初の全国制覇を狙う。

 吉報が届いてもナインの目標は揺るがない。新チームになった秋も、関東大会を制して迎えた冬も、変わらず見据えてきたのは日本一だ。紫紺の優勝旗を群馬県に初めて持ち帰る。静かな闘志は燃え続けている。

 長打力で打ち勝つスタイルを前面に出した。新チームは公式戦無敗で聖地への切符をつかんだ。青柳博文監督は「無敗は初めての経験。全国でも優勝を狙いたい。関東を代表する責任を果たしたい」と言葉に力を込めた。

 グラウンドには「機動破壊」の幕が張られている。従来は機動力で相手を圧倒する野球が持ち味だったが、昨秋の公式戦は10試合で27盗塁の機動力に15本塁打と長打力が加わった。関東大会決勝の常総学院戦。15回連続無失点を続けていた常総学院のエース右腕・秋本から2本塁打などで8得点と、屈指の攻撃力で関東を制した。

 方針転換のきっかけは17年のセンバツだった。機動力を武器に1、2回戦を突破したが、準々決勝で秀岳館に2―9で敗れた。相手の1本塁打を含む15安打で9得点の猛攻に「スケールの大きさ、豪快さを感じた。スコア以上の力の差を感じた…」と指揮官は振り返る。高校野球全体の打撃力向上もあり「諦めさせる得点を取らないと今の野球は厳しい」という考えに至り、強力打線を目指した。

 ウエートトレーニングの徹底に加え、約12メートルの距離で打撃投手が全力で投げ込む近距離打撃で打力を磨いた。ボールを見極める力がついたことで、甘い球を逃さず長打にできるようになった。積み上げた努力は昨秋に開花。先発メンバーの高校通算本塁打は、計153本に達した。どこからでもアーチを架ける強力打線になった。

 関東大会は故障で離脱した、最速146キロ右腕の今仲も復帰間近。指揮官は「優勝を狙えるチームに仕上がっている」と手応えを口にした。主将で高校通算35本塁打の小沢は「(甲子園の)観客の方に自分たちのバッティングを披露できればと思います」。新しい野球「一発破壊」で初の頂点へ上る。(柳内 遼平)

 ○…センバツ制覇への鍵は最速146キロ右腕の今仲だ。昨秋の公式戦は右肘の故障でわずか2試合に終わり、2回1/3を6失点と実力を発揮できなかった。本職は外野手の野中らの継投で手にした舞台に「野中をマウンドに立たせて申し訳なかった。野手陣にも打ってもらってチャンスをもらえた。結果を出したい」と意気込む。今月からブルペン投球を再開。完全復活は近い。

 ○…扇の要が攻守に躍動する。捕手の綱川は、初めての公式戦ベンチ入りだった秋季大会で活躍した。関東大会は絶対的なエース不在の中、高松ら4投手の特長を生かす好リード。打撃では強打の8番を担い、勝負どころで2本塁打を放った。「下位に一発が打てる打者がいるとリードもやりづらい」と捕手目線で自らを分析。通算本塁打はチーム3位の21本。下位でも油断は禁物になる。

 ▽高崎健康福祉大高崎 1968年(昭43)創立。01年から現校名。野球部は02年に創部し、11年夏に甲子園初出場。甲子園通算13勝(夏6勝、春7勝)。最高成績は12年センバツ4強。主なOBに湯浅大(巨人)、柘植世那(西武)、長坂拳弥(阪神)ら。所在地は群馬県高崎市中大類町531。加藤陽彦校長。

続きを表示

この記事のフォト

2021年1月30日のニュース