東海大甲府、5年ぶりセンバツ エース・若山中心に県勢初の決勝進出目指す

[ 2021年1月30日 05:30 ]

ランニングをする東海大甲府イレブン(撮影・光山 貴大)
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 第93回選抜高校野球大会(3月19日から13日間、甲子園)の選考委員会が29日、オンライン形式で行われ、東海大甲府が5年ぶり6度目の出場を決めた。昨秋はバッテリーを中心に守り勝つ堅実な野球で山梨大会を制覇。関東大会は4強入りを果たした。絶対的エースの若山に次ぐ投手の台頭で、センバツで上位進出を目指す。

 5年ぶりのセンバツ切符。東海大相模時代に、巨人の原辰徳監督らと4度の甲子園を経験した村中秀人監督は、静かに喜びをかみ締めた。

 「素直にうれしく思う。どんな状況でも感動を与えられるプレーを届けたいと思います」

 昨秋はエースで最速139キロ左腕の若山と、主将・三浦のバッテリーを中心に守りの野球で山梨大会を制した。若山は抜群の制球力と切れ味鋭いスライダーが武器。昨秋の公式戦6登板で6勝と大車輪の活躍で、関東大会は2試合連続完投勝利でセンバツ出場を引き寄せる原動力だった。現役時代は同じく左腕で甲子園通算6勝の指揮官は「関東大会は若山に託した。球も良いが、気持ちの強さが素晴らしかった」と活躍を称えた。

 課題もある。関東大会準決勝の常総学院戦は、先発2番手の左腕・加藤が先発し、3回2/35失点でKO。0―10で6回コールド負けを喫した。「上位に進出するためには2、3番手投手の力が重要」。長い監督生活での経験から指揮官は、大会までのさらなるチーム力アップを目指す。東海大甲府を甲子園4強に導いた04年夏と12年夏の準決勝は、ともにエースが疲労で先発できずに敗戦。山梨県勢初の決勝進出には力のある2番手以降の投手が必要だ。

 加藤は秋の公式戦で13回2/3を投げて防御率1・32。実力を大舞台で発揮できるかが鍵となる。「全国で勝っているチームは2番手投手も良い。甲子園で目立った活躍ができるように」と闘志を燃やす。

 大黒柱の若山も、指揮官から宿題を与えられた。「俺たちが果たした甲子園8勝を超えてみろ」。最終学年を迎える若山らに残されたチャンスは2度で、困難なミッションになる。それでも若山は「春に全国制覇すれば5勝。目指していきたいです」と笑う。初の大舞台で偉大な先輩左腕の背中を追う。(柳内 遼平)

 ○…守りの要の回復にチームの明暗が懸かっている。昨秋は守り勝つ野球で躍進。遊撃手の中沢は、公式戦8試合を無失策と完璧な守備でチームを支えた。春から11キロの増量で攻守に力強さが出たが、体に負荷がかかり腰を故障。関東大会後は練習から離脱し、現在も別メニュー調整が続く。中沢は「腰が痛くても甲子園に出たい…」。名手の回復を皆が待っている。

 〇…プロを経験したOBが母校に帰ってきた。昨年4月に仲沢広基コーチが就任。巨人、楽天で内野のユーティリティープレーヤーを務めた経験を伝え、秋の公式戦8試合で6失策と堅い守りをつくり上げた。母校での3年夏は「4番・三塁」で1本塁打、04年夏大会最多の9打点と勝負強い打撃で4強入りに貢献。聖地を知る同コーチは「甲子園は物凄く楽しい場所」と振り返った。

 ▽東海大甲府 1957年(昭32)創立。野球部は58年創部で、81年夏に甲子園初出場。甲子園通算28勝(夏20勝、春8勝)。最高成績は4強で85年夏、87年春、90年春、04年夏、12年夏の5度。主なOBに高橋周平(中日)、渡辺諒(日本ハム)、村中恭兵(元ヤクルト)ら。所在地は山梨県甲府市金竹町1の1。八巻英世校長。 

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