大崎、初の甲子園! 小さな離島の廃部寸前チームに清水監督が起こしたマジック

[ 2021年1月30日 05:30 ]

センバツ出場を決め清水監督を胴上げする大崎ナイン(撮影・岡田 丈靖)
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 第93回選抜高校野球大会(3月19日から13日間、甲子園)の選考委員会が29日に開かれ、昨秋の九州大会で初優勝した大崎(長崎)が春夏通じて初めての甲子園出場を決めた。

 人口約5000人の小さな島に春が来た。清峰のコーチ、佐世保実の監督として甲子園出場の経験がある清水央彦監督は「自分たちの力だけじゃない。周りの方の協力があっての成果」と涙目に。選手たちの手によって何度も宙に舞いながら喜びに浸った。

 数年前まで部員不足で廃部寸前だったチームは、18年春に清水監督が就任したことで状況が一変した。実績豊かな指揮官の指導を受けようと、中学時代に全国大会に出場した経験があるエースの坂本安司投手(2年)、調祐李捕手(2年)のバッテリーら、有望な選手が島に集まるようになった。少しずつ力をつけ、昨秋の長崎大会で優勝。続く九州大会では無失策の堅い守りと粘り強い打撃で九州王者に輝いた。

 決勝まで4試合戦った九州大会で、準決勝まで3試合連続で完投した坂本は「少し実感が湧いてきた」と心境を語った。冬場はチーム全体でインターバル走などの走り込みで体力を強化。「下半身が強くなった。(最速139キロの)球速も上がっていると思う。145キロを目指したい」と意気込んだ。指の力をつけるために、親指、中指、人さし指の3本の指で5キロのダンベルを持ち上げるトレーニングにも取り組んできた。

 坂本だけでなく、選手たちの大島への愛着は強い。住民から「頑張って」と声を掛けてもらうことが励みになっている。選手寮に新鮮な魚介類、野菜を差し入れしてもらうこともある。坂本は「甲子園でしっかり勝って恩返しがしたい」と目を輝かせた。清水監督の思いは同じだ。「目標をもう一段、別のステージにしないといけない。ここで満足せず、甲子園で勝つことを目指してやりたい」と気を引き締めた。

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