田中将大は「負けない投手」 ダル、マエケンと比べても際立つ負け数の少なさ

[ 2021年1月29日 08:45 ]

ヤンキース時代の田中将大
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 田中将大投手の8年ぶり楽天復帰が正式に決まった。ヤンキースの先発ローテーション投手が、32歳という若さで帰ってくる。昨晩はネット上が多くの驚きと歓迎の声で埋め尽くされていた。

 13年に24勝0敗という伝説を残して海を渡った。NPB通算99勝は、楽天球団の投手の最多記録でもある。あと1勝に迫るNPB通算100勝という節目を、早くも願うファンの声もある。ただ個人的に見たいのは、その先。あと23勝に迫っている日米通算200勝の大台だ。

 田中の特長の一つに「負けない投手」であることが挙げられる。序盤で大量失点しながら、味方打線の援護で勝利投手となり、「マー君、神の子、不思議な子」と野村克也監督が名言を残したのは、まだ田中が18歳だった07年のルーキーイヤー。それは始まりでしかなかった。その後もとにかく負けない。当時はBクラスが多かった楽天での7年間で175試合に投げ、99勝35敗、勝率・739という数字は出色である。常に気迫を前面に出すスタイルで味方を鼓舞し、試合の勘所を押さえたギアチェンジをみせる嗅覚など、さまざまな点が「負けない投手」たらしめる。

 メジャーでも日本より勝率は落とした(・739→・629)が、7年間で自身の勝敗が負け越すシーズンは一度もなかった。

 同時期にメジャーで活躍し、日米通算200勝に将来的に届くであろう他2人の名投手との通算成績比較でも、負け数の少なさが際立つ。

 田中 将大 177勝81敗
 ダルビッシュ有 164勝94敗
 前田 健太 150勝103敗

 ちなみに歴代200勝以上の投手で、負け数が2桁の投手はただ一人。巨人で1942~1955年にプレーした藤本英雄だけである。藤本の通算成績は200勝87敗。

 田中が藤本より少ない敗戦数で大台に達するには、23勝5敗と驚異的な勝率で白星を積み上げ続けないといけない。もっとも、13年の田中を知るものたちにとっては、決して夢物語の数字とは決めつけられないだろう。

 田中にとって200勝という数字は通過点でしかない。それでも「負けない男」らしく、願わくば藤本以下の敗戦数で、少なくとも2桁を保ったまま突破し、さらなる高みを目指す姿をみせてほしい。(記者コラム・後藤 茂樹)

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