京都国際 創部22年目で初聖地 校歌は韓国語で覚えきれない選手も…「甲子園で歌います」

[ 2021年1月29日 17:57 ]

春夏通じて初の甲子園大会出場を決め、喜びを爆発させる京都国際ナイン
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 第93回選抜高校野球大会(3月19日から13日間、甲子園)の出場32校を決める選考委員会が、29日にオンラインで開催され、晴れの出場32校が決まった。

 待ちに待った朗報が京都国際ナインのもとへ届いた。創部22年目で、春夏通じて初めての甲子園大会出場。山口吟太主将(2年)は「常に全力でやることが自分たちの長所。行くからには全国制覇したい」と言葉に力を込めた。

 1999年に創部し、京都韓国学園として初めて同年夏の京都大会に出場。04年に現校名となり、08年に就任した小牧憲継監督(37)のもと、着実に力を付けてきた。

 「ゼロどころかマイナスからのスタートでした」

 08年夏を部員13人で戦い、秋の新チームからは9人になったが、じっくりとチーム力を強化。自主性を重んじ、個の力を徹底的に鍛える指導方法が実を結び、19年夏の京都大会で準優勝。昨秋近畿大会では4強に進出した。

 チームの命運を握るのは森下瑠大と平野順大の両1年。昨秋の公式戦は全9試合、全イニングを2人で投げ抜いた。投げるだけではない。森下は打率・458、平野は同・419とメンバーで2人だけが4割を超える。最速137キロ左腕の森下は「二刀流が自分のウリ。スピードよりキレで勝負するタイプなので、内角をどんどん攻めて行きたい」と聖地での投球に思いをはせ、同じく137キロ右腕の平野も「(森下に)負けたくない思いはある」と前を向いた。

 校歌は韓国語。2018年には変更の可能性を含め、全校生徒などにヒアリング調査を行った。朴慶洙(パク・キョンス)校長は「検討が必要という声はずっとあった。ただ生徒達は“今のままが好き”ということだったので」。例年なら入学前の3月のオリエンテーションで校歌を覚えるが、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でオリエンテーションが行われず、現1年生は校歌を覚え切れていない選手もいる。主将は「甲子園で歌います」と力強く言う。大会までに、野球だけでなく、校歌の仕上げ作業にも入る。

 小牧監督は「初出場らしくない戦いぶりを全国の皆さんにお見せしたい。浮ついてミスを連発して、試合が終わっていた…ではなく、地に足を付けて、ウチのグラウンドでやっていることを甲子園でもできたら」と話した。悲願の出場を果たしたナインが、聖地に新鮮な風を吹かせる。

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2021年1月29日のニュース