森繁和氏 セとパの質の違い=力の差 投打の「強さ、速さ、鋭さ」歴然

[ 2020年11月23日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ第2戦   ソフトバンク13-2巨人 ( 2020年11月22日    京セラD )

<巨・ソ>2回1死、今村(左)から中越えソロ本塁打を放つ甲斐(撮影・木村 揚輔)
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 【森繁和 シリーズ大分析1】巨人はソフトバンクに日本シリーズでは球団ワーストとなる13失点で2連敗。13年から続くシリーズでの連敗は7に伸びた。元中日監督で、本紙評論家の森繁和氏(66)は、セ・リーグとパ・リーグの野球の質の違いが、そのまま結果に表れていると指摘。普段からパワーピッチャーと対戦し、力勝負を繰り広げているパの野球が、セの王者に力の差をまざまざと見せつけている。

 マウンド上の今村は、息をするのさえ苦しかったのではないか。3失点した初回。打者7人に計26球を投げた。空振りこそ2球あったが、ファウルは1球もなし。ソフトバンクの各打者は強く、鋭いスイングで打ち損じをしない。甘いボールを確実に仕留めてくる。今村も必死に低めに投げて抑えようとしていたが、ファウルでカウントを稼げないと苦しい。この場面だけでも、セ・リーグとパ・リーグの野球の質の違いが如実に表れていた。

 今季はコロナ禍の影響で交流戦がなかった。巨人、そして普段パの試合を見る機会があまりないファンは改めて面食らったのではないか。これほどまでに両リーグの野球は違うのか、と。今村と対照的に石川のボールは強く、勢いに満ちていた。初回は17球中、13球が直球だったが、巨人の打者はまるで対応できず、甘い球でも押し込まれてファウルになってしまう。5回まで70球のうち15球がファウル。苦しいカウントに追い込まれ、ボール球を振る悪循環に陥っていた。

 前日の千賀もそう。石川や山本(オリックス)、則本昂(楽天)らパにはパワー系の投手が数多い。この日150キロ超を連発した岩崎、杉山のように、救援投手もそうだ。パの打者はパワーに対抗するために、より強いスイングが求められる。その打者を抑えるためには、投手もさらに力のあるボールが必要になる。この循環が現在のパの野球を生み出す土壌になっている。もちろんDH制を導入しているのもその一助だろう。パはドラフト戦略からして違う。DH制、パワー野球にフィットする選手を獲得しようとする。

 2回には甲斐が1ストライクからの2球目を中堅左に運んだ。9番打者にしてこのフルスイング。インパクトの瞬間の打球音が凄い。打者はスイングの強さ、速さ。投手は腕の振りの鋭さ…。その差が両チームの、そして両リーグの差になっていると言っていい。

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