阪神・球児の家族愛 ザナックス担当者が語る引退試合の意味「ご家族に対しての思いでは」

[ 2020年11月10日 05:30 ]

ザナックス・ベースボール事業部・丸井悠平氏
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 ザナックス・ベースボール事業部の丸井悠平氏(36)は09年から現役引退を決断した今季まで12年にわたって藤川を担当した。知られざる「人間・藤川球児」の一端を、本紙に明かした。

 「本当にプロフェッショナル。アスリートとしてはファンをすごく大切にし、1人の人間としては家族をすごく大切にする。家族だけではなく、周りの方への接し方など、私自身の生き方にも影響を与えて下さりました」

 グラブの内側には、家族の名前を刺繍してきた。上段に妻、下段には3人の子供たち。かつての「本塁打厳禁」や今季の「不動心」など表面の刺繍は変わっても、家族を大切に思う気持ちは一切変わらなかった。

 「私が担当になって最初の2年間は、一時的に成績を落とされることもあって、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。担当者としての私のコミュニケーション不足が招いてしまったと、今でも思います」

 経験不足を補うには、まずは1人の人間として藤川に認められることを目指した。藤川はもちろん、家族にも手紙をしたためた。試合で打たれた際には、人知れず神社にお参りしたこともある。絶え間なく情熱を注ぎ続けた結果が、12年間の担当生活につながった。

 「ファンの方々に対してはもちろんですが、引退試合というのはご家族に対しての“最後の一日”という思いをお持ちなのではないかと感じています」

 10日の引退試合。これまでの感謝を胸に秘め、丸井氏はスタンドから最後の勇姿を見つめる。

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2020年11月10日のニュース