最後の球児伝説 「何かを感じていただければ」 宿敵巨人に今の最高で立ち向かう!

[ 2020年11月10日 05:30 ]

<阪神練習>背番号22もついに見納め。青空の広がる甲子園でキャッチボールを行う藤川(撮影・北條 貴史)
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 10日の巨人戦で引退試合を迎える藤川球児投手(40)は9日、甲子園球場での全体練習に参加し、ラストゲームに備えた。守護神として最後のマウンドに上がることが濃厚な右腕は、気負うことなく自然体を強調。等身大の投球を、見守るファンに届けることを宣言した。

 柔和な表情でグラウンドに現れた藤川は、いつもと変わらぬ動きで聖地の芝生を踏みしめた。キャッチボールではずっとコンビを組んできた片山ブルペン捕手のミットに白球を投げ込み調整。「ラスト」へのカウントダウンが響く中、地に足をつけて最後を迎える。

 「そこまで(心境の変化はない)。自分がどう思うというよりは、見ている方に何かを感じていただければと思っていますね」

 “審判”はファンに委ねる。与えられた場所で、等身大のピッチングを体現することに集中することを宣言。守護神として慣れ親しんだ9回での起用が濃厚も「そういうのって自分で決められるものじゃなくて、周りの空気だったり、導いてくれるものだと思うので。個人的には、自然体です」と静かに本番を見据えた。

 「(150キロも)マウンドでは、ありのままの、その時の正直なことが結果として出る。自然に逆らわずにやってきたし、これからもそういう人生を送りたいので、明日もどうこう(したい)ということはないです」

 オール直球勝負、150キロ…そんな“飾り”にも強く首を振る。「今の藤川球児」ができ得る100%のパフォーマンスを発揮することに力をつぎこむ。対峙(たいじ)するのは、人一倍、打倒にこだわってきた巨人。「その時の空気感であったり、そういうものを感じていただけたらなと思います」とここでも多くを語ることはなかった。

 名古屋、東京ドーム、横浜、広島と激闘を繰り広げてきた敵地でも多くの声援を受けて、感謝の思いをしっかりと刻んできた。「甲子園がまだあるので。それがすべて終わらないと、いまここでは言えることじゃないかなと思ってます」。“最終地点”にようやくたどり着いた。

 すべての答えは今夜、聖地のど真ん中で見せるつもりだ。「ファンの方の気持ちを大切にしながら、現役生活を終わりたいなと思います。感動しようと思って、感動するものじゃないでしょ。みなさんの力で最後、藤川球児で遊んであげてください」。その瞬間がいよいよ訪れる。(遠藤 礼)

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2020年11月10日のニュース