【球児引退あいさつ全文】記憶に残る感動スピーチ!清原、松坂、虎党、そして家族へ ありがとう!

[ 2020年11月10日 22:05 ]

セ・リーグ   阪神0-4巨人 ( 2020年11月10日    甲子園 )

<神・巨24>セレモニーで手を挙げる藤川(撮影・椎名 航)
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 阪神・藤川球児投手(40)が10日、甲子園での引退セレモニーで、約11分間にも及ぶ熱いスピーチを行い、感謝の気持ちを届けた。野球史にも残る名スピーチを、全文紹介する。

 【藤川スピーチ原稿】
 まず始めにこのたび、野球選手藤川球児のためにこんな素晴らしい舞台を用意して頂いた阪神タイガース球団、そして矢野監督をはじめとするコーチ、選手、スタッフの方々にお礼を申し上げたいと思います。

 本日は阪神タイガースファン、そして全国の野球ファン、そしてプロ野球界の先輩方皆様に、今日、この日を迎えるまでに皆様から頂いた、夢や希望を持ち、人生を前向きに生きることができた、お礼を伝えたいと思います。

 1999年に阪神タイガースに入団して、同じドラフト1位には、同級生・西武ライオンズ松坂大輔、そして巨人軍の上原浩治さんがいました。2人は1年目から素晴らしい活躍をしていました。2人を見て、失敗と故障を繰り返す自分とを比べると自分には無理だと普通なら諦めてしまうでしょう。

 でも僕は、今は勝ち負けはついていない!と認めることだけは絶対にしませんでした。当時、周りから厳しい視線を感じたり、厳しい言葉を投げかけられることもたくさんありました。しかし、どんな時もいつも必ず見返してやるとそう思いやってきました。

 そして2005年、タイガースで優勝することができました。最高の思い出です。

 その後、松坂と上原さんがメジャーリーグに行って、追いかけるように自分もメジャーリーグにチャレンジしました。しかし、本当に苦しいことばかりで…孤独で…また新人の頃のようにうまくいかない日々が訪れ、明日すら…(うつむいて、しばしの沈黙後、笑って)大丈夫です。明日すら見失いそうになっていました。

 そんな時、阪神タイガースに入団してからの苦労した経験が僕を救ってくれました。俺は負けていない。見返してやる!独立リーグからもう一度リスタートして自分の力を見せて地元高知の子供達、そして日本のプロ野球ファンをびっくりさせたいと思いました。

 そこからタイガースに戻り、3年間かけてやっとクローザーのポジションに戻ることができました。見返してやる!その時にはもう、そんな気持ちは全くなく、これが皆様からの叱咤激励というものなんだと知り、心の底からありがとう!という感謝の気持ちでいっぱいでした。

 僕は自分自身にたびたび襲い掛かる苦難に打ち勝つことができました。

 清原和博さんへ。あなたがいなければ今の僕は存在しません。僕をここまで成長させてくれたのは清原さんとの対戦、そして存在です。何年か前になりますが、僕も清原さん自身も苦しい時なのに、お守りを届けていただきました。体を大事にしろよ!と。凄く力になりました。キヨさんはとても優しい方です。必ずお礼を伝えに行きますので今後ともよろしくお願いします。

 ライバル松坂大輔へ。必ず投げる姿を見せて、世の中の人を元気にして下さい! あなたのそういう姿が今の日本には必要です。僕があなたの一番の応援団になります。目標でいてくれてありがとう。

 それでは、阪神タイガースファンの皆様へお礼を言わせて下さい。僕の投げる火の玉ストレートには、甲子園球場のライトスタンドの大応援団の皆様、チームの思い、そして全国のタイガースファンの熱い思いが全て詰まってます。それが皆さんの知る火の玉ストレートの投げ方です。それは打たれるはずがありません。打者のバットに当たるはずがありません。僕が言うのも変ですが、不思議な力が湧いてきて普段の自分ではなくなるのです。野球選手藤川球児というのは皆様の気持ちの塊だったんだと思います。ファンの皆様にとって僕の存在が誇りというのならば、僕にとってもファンの皆様が誇りです。その気持ちをこれからは後輩達に一緒に送り続けましょう!そしてタイガース史上最高のキャッチャーで、僕が世界で一番尊敬している、矢野監督を日本一の監督にさせてあげましょう。選手やコーチの皆さん、後はよろしくお願いします。もし困った時はいつでも呼んでください。すぐに駆けつけます。

 そして、僕自身よりも、本当に一度も世間の皆様に顔も見せず頑張ってきてくれた家族へ、この場を借りてメッセージを送らせて下さい。今までたくさん野球のために我慢させてきだけど、やっと明日から夫として普通のお父さんとして家族のために何でもしてあげられるようになります。長い間お待たせしました。これからは何をする時も一番に皆んなを優先します。今までよりさらに笑顔の絶えない家族になりましょう。

 そして、親父、お母さん、名前を球児にしてくれてありがとう。野球をやらせてくれてありがとう。辞めようとしてる時、何回も引き止めてくれてありがとう。2人が元気な間に恩返しする時間ができました。これから少しずつ恩返しさせて下さい。

 そしてこの1カ月、セリーグの各チームの方々、球場関係者の皆様、こんな1人の選手のためにセレモニーを用意して頂きまして本当にありがとうございました。きっとたくさんの子供達への、夢や希望に繋がったと思います。夢を繋ぐ。これが僕の現役生活最後の1カ月でやりたかったことです。

 それでは皆さん、野球選手藤川球児とサヨナラをする時がきました。子供の頃からの先生方、今までの全ての友人、そして世界中の野球ファンの皆様、皆様のおかげで最高に素晴らしい野球人生を送ることができました。長い間のご声援、本当に本当にありがとうございました。

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2020年11月10日のニュース