牛島和彦氏 巨人・戸郷、独特の角度にパ打者は戸惑うはず 課題は左打者内角への真っすぐの制球

[ 2020年10月11日 19:38 ]

セ・リーグ   巨人0―7中日 ( 2020年10月11日    ナゴヤD )

<中・巨>力投する巨人戦先発の戸郷(撮影・森沢裕)
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 【牛島和彦 視点】真っすぐを意識すればスライダー、フォークで抜かれる。変化球を意識すれば真っすぐに差し込まれる。巨人・戸郷が奪った6回18アウトのうちゴロによるものは2回、高橋の二ゴロ1つだけ。三振は4。あとの13はすべてフライアウトだった。

 しかも内野フライが8。変化球で抜かれて腰砕けでバットに当てただけのフライや差し込まれてどん詰まりのフライが多かった。腕がアーム式に近く、一見ボールの出どころが見やすそうなのに、打者はタイミングが合わせられない。スリークオーターからサイド気味。独特の角度から出てくる腕が長く見えて厄介なのだ。

 それでも2失点。ここに戸郷の課題が見える。いずれも内角高めの真っすぐを打たれた高橋の適時打による失点。左打者の内角に投げる真っすぐはシュート回転して、甘く入ってしまうのだ。

 右打者に対する内角真っすぐはシュート回転して余計差し込むことができるが、左打者には打ちやすくなる。かといって内角に速い球を見せないと踏み込まれる。体に当てるくらいのつもりで投げてぎりぎりのコースに行くのかもしれないが、その加減が難しい。

 日本シリーズに目を向けると、がんがん振ってくる打者が多いパのチームは戸郷に戸惑うと思う。今季は交流戦がなかっただけに余計だ。戸郷には残る登板で左打者の内角に投げる真っすぐの制球という課題を克服してあと2勝し、自信を持ってシリーズに臨んでもらいたい。現状では不利な新人王も2桁勝利に乗せれば、チャンスが出てくる。(スポニチ本紙評論家)

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