巨人 原政権最速60勝!松原2番が一番強い 起用時得点アップ!球数粘って主軸が“観察”

[ 2020年10月11日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人7―1中日 ( 2020年10月10日    ナゴヤD )

<中・巨>8回、選手交代を告げる原監督(撮影・森沢裕)
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 粘りの2番で原巨人最速の60勝到達だ。巨人・松原聖弥外野手(25)が10日、中日戦の5回に左前2点打を放ち、坂本勇人内野手(31)のダメ押し2点打につなげた。松原の2番出場時は1試合平均5・13得点と打線が機能。90年以来となる100試合未満での貯金30にも到達。原政権下では最も早い94試合目で60勝に乗せ、優勝マジックを12とした。 

 野球界のトレンドは強打の2番。巨人も昨季は坂本が務めた打順である。だが、リーグ連覇を狙う今季は1メートル73の決して強打者の部類には入らない松原が、大きな存在感を放っている。
 「前の打席まで2三振だったので、どんな形でも勇人さんにつなげるという気持ちだけで食らいつきました。本当に良かったです」

 持ち味を発揮したのは、1―0の5回2死満塁。手元で動く150キロ超の直球を駆使するロドリゲス相手に粘った。スライダーにも食らいつき、ファウルで球数を稼ぐ。9球目。真ん中に甘く入ったスライダーに詰まったが、遊撃、左翼、中堅の間のヒットゾーンにポトリと落とした。2者が生還する貴重な適時打。直後の3番・坂本の中前2点打につなげた。

 この粘りが、松原の強みだ。1打席当たりに、相手投手に投げさせる球数はチームトップの4・27(200打席以上が対象)。適時打以外は3三振に終わったが、その3打席でも6球、5球、6球を投げさせた。2番打者が粘ることでクリーンアップは、相手投手の球筋をじっくり観察できる。今季は本調子ではないものの、得点圏打率・377を誇る3番・坂本、本塁打と打点で2冠の岡本らが、有利に打席に立つ状況をつくっている。

 9月22日から16試合連続で2番に置く原監督は「相手チームからしたら、嫌なバッターになりつつある」と評した。今季、松原が2番の試合は38試合で、1試合平均得点は5・13。31試合の坂本の1試合平均4・71を上回る。定着によって厚みが生まれる打線。指揮官も「彼が2番にいるのは、昨年の2番とは違うところ」と117試合で坂本を2番起用した19年とは異なる強さを認める。

 「場面によって、打つべきところと打つべきでないところを考えている」と松原。父はIT企業社長、兄はお笑いコンビ「ロングアイランド」の松原侑潔(ゆい)、弟はラーメン屋という個人事業主一家に育った。父の教えは「自分の心を強く持ち、人に自己重要感を与えて誰かの人生に貢献しなさい」。90年はバントの名手・川相が主に2番を務めた。松原の今季の犠打は1。強打者でも、ステレオタイプでもない2番打者。松原スタイルだ。(青森 正宣)

 ◆松原 聖弥(まつばら・せいや)1995年(平7)1月26日生まれ、大阪府出身の25歳。仙台育英から明星大を経て、16年育成ドラフト5位で巨人入り。18年7月に支配下登録され、今年7月25日に1軍初昇格した。1メートル73、72キロ。右投げ左打ち。

 ≪94試合で貯金30「100」未満は90年以来≫巨人が2年連続40度目のリーグ60勝一番乗りを果たした。原監督にとっては7度目の60勝一番乗りで、過去6度は全て優勝している。また、貯金は30に到達。チームは94試合を消化しているが、100試合未満での貯金30は90年の96試合目以来30年ぶり。なお、過去の原政権下の最速ペースは60勝が02、12年の97試合目、貯金30が12年の105試合目となっており、いずれも更新する最速になった。

 ▽90年の巨人 2位・広島に22ゲーム差をつけ88勝42敗、勝率・677でリーグV。4番・原が開幕戦で脇腹を痛め戦線離脱を余儀なくされるも、9月29日の中日戦で3本塁打を放ち、10年連続20本塁打を達成。最終的に103試合に出場し、打率・303、68打点だった。また、エース斎藤が8試合連続完投勝利など20勝。他に桑田、木田、香田、宮本と5投手が2桁勝利。89年に復帰した藤田監督はリーグ連覇を果たしたが、西武との日本シリーズは4連敗だった。

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